日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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遺伝子重複による二次代謝産物の多様性
*花田 耕介
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p. S0048

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抄録
植物ゲノムは遺伝子重複を介して多くの遺伝子を保有している。そのため、重複遺伝子が植物代謝産物の多様性にどのように貢献しているかを理解することは興味深い。実際に比較ゲノム解析によって、系統特異的に最近に重複した遺伝子は、二次代謝産物に関係する傾向が高いという結果を得ている。この結果は、二次代謝産物の多様性に重複遺伝子が関係していることを強く示唆する。しかし、一方で、比較的最近に重複した二次代謝産物の生成に関係する遺伝子は、冗長した機能を保つことも明らかになっている。このように、重複遺伝子が持つ多様性と冗長性が、各代謝産物に関係する遺伝子を同定するための大きな壁になっている。そこで、本講演では、情報解析によって、各代謝産物に関係する遺伝子を網羅的に同定する方法を提案する。ここで紹介する方法では、同一種内の二次代謝産物量の多様性を利用して、二次代謝産物の産生に関係する遺伝子群を同定することを可能にする。具体的には、同一種の複数のアクセッションのゲノム配列とトランスクリプトームデータの多様性に着目し、ゲノム関連解析によって各二次代謝産物に関係する遺伝子群を同定している。講演の最後には、実際に本方法で、二次代謝産物生成に関係する既知遺伝子群の同定に成功した例を紹介する。
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© 2011 日本植物生理学会
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