日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

酵母に学ぶ選択的オートファジーのメカニズム
*新谷 尚弘
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. S0054

詳細
抄録
真核細胞は栄養飢餓条件にさらされると、オートファジーと呼ばれる細胞内分解機構を活性化させる。この過程ではオートファゴソームと呼ばれる二重膜構造体が細胞質を非選択的に取り囲み、リソソーム・液胞と融合することで、その内容物が分解される。分解産物は生存に必要な栄養源・エネルギー源として再利用される。この真核生物に普遍的な役割のほかに、アミロイドの原因となり得る異常なタンパク質や細胞外から侵入してきた細菌などの選択的な除去、免疫など様々な高次機能にもオートファジーが貢献していることが近年明らかにされてきた。
出芽酵母では、飢餓適応としての役割のほかに、液胞酵素の細胞質から液胞の選択的輸送(cytoplasm to vacuole targeting経路)、ミトコンドリアやペルオキシソームの選択的分解にもオートファジーが利用されていることが知られている。現在まで34個の出芽酵母オートファジー関連遺伝子が同定されており、そのうち約半分がすべての経路に必須なコア・コンポーネントであり、残りは基質選択性に関わる因子である。本講演ではこれら遺伝子産物の機能と選択的オートファジーのメカニズムを紹介するとともに、哺乳類における異常タンパク質や細菌のクリアランス機構との類似性についても言及したい。
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top