日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

植物オートファジーによる細胞死の制御
*吉本 光希大隅 良典白須 賢
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. S0055

詳細
抄録
オートファジーは、オルガネラを含む細胞質成分を液胞に輸送して分解する真核生物に普遍的な細胞内分解システムである。
私たちはこれまでに、電子顕微鏡観察に依拠しない植物オートファジーのモニター系を開発し、(1) ATGautophagy-related)遺伝子破壊植物(atg mutants)はオートファジー能を欠損していること、(2) オートファジーが不能であると栄養状態が良いにもかかわらず老化・細胞死が促進すること、(3) 病原菌感染時に防衛反応として引き起こす細胞死を過剰に発生すること、等を明らかにしている。しかしながら、なぜオートファジーが不能であるとこのような表現型を示すのかについては謎であり、植物オートファジーの生理的役割を明らかにする上で大変興味深い問題である。
最近、私たちはatg mutantsにおける細胞死促進の原因が過剰なサリチル酸(SA)シグナリングであること、またそのシグナルによってオートファジーが誘導されることを発見した。本シンポジウムでは、オートファジーがどのようにして細胞死を負に制御しているのかそのメカニズムについて最新のデータを基に考察し、老化・病原菌感染時における植物オートファジーの役割について議論したい。
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top