2010 年 15 巻 1-2 号 p. 4-11
乱数生成期(RNG)を使って共感的な振る舞いをみせるエージェントは実現可能だろうか。本研究は、RNGのビット出力を顔の表情に置き換えてPCモニタ上に表示するシステムとして、RNGのビット出力のStouffer Zとカイ自乗値を、快-不快と覚醒度の2軸にそれぞれあてはめて二次元平面上にプロットし、心理学的に対応する表情(驚き、怒り、恐怖、悲しみ、退屈、リラックス、幸せ、歓喜の8種類)を出力するソフトウェアを作成した。感情を喚起する音楽を心理刺激として複数用意し、聴衆に聴かせる実験をおこない、その際に表示されたシステム上の表情出力の頻度とその偏りに注目した。分析の結果、有意な表情の偏りは得られなかった。実験手続きの改良などが今後の課題として残された。