小児の精神と神経
Online ISSN : 2434-1339
Print ISSN : 0559-9040
Guanfacineにより改善が得られたADHDに併存した夜尿症の2例
大橋 圭
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2020 年 60 巻 3 号 p. 233-238

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抄録
注意欠如多動症(ADHD)の児は,定型発達児に比べ夜尿症を有すことが多く,夜尿症への治療反応性が不良とされている.ADHDを併存する夜尿症にADHD治療薬が有効という報告が散見される.症例①7 歳7か月,男児.服薬開始前は夜尿がない日の割合(成功率)は10%未満であったが,注意力散漫・忘れ物の多さに対してGuanfacine 1mgを投与開始,約1週間で成功率は100%となった.症例②11 歳2か月,女児.服薬開始前は成功率は約30%であったが,13歳10か月時に不注意に対してGuanfacine 1mgおよびMetylphenidate 18 mgの併用で成功率は100%となった.症例①では中途覚醒の改善が,症例②では入眠・覚醒の改善が認められ,睡眠の質の改善が夜尿症の改善と関連があることが示唆された.ADHDに併存した夜尿症の治療薬としてGuanfacineは選択肢の一つになり得ると考えられる.
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© 2020 一般社団法人日本小児精神神経学会
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