算数障害は数感覚,数的事実,計算,数学的推論の困難に分けられる.海外では数感覚の成績がその他の成績と有意に関連することが報告されているが,低年齢における関連性は明らかにされていない.また,数の捉え方は文化によって異なり,これらの関連性について本邦では確認されていない.そこで,本邦において数感覚,数的事実,計算,数学的推論の基礎データを収集し,その関連性を明らかにすることを目的とした.対象は,公立小学校の通常学級に在籍する4年生188名,1年生371名,2年生330名とし,数感覚(数感覚序数性および数感覚基数性)と数的事実,計算,数学的推論(4年生のみ)の課題を実施した.その結果,数感覚基数性が数的事実,計算の一部と有意に関連することが明らかになった.本研究の結果は,数感覚が数的事実,計算と有意に関連する先行研究の結果を再現し,この関連は年齢を超えて共通すると考えられた.
【目的】極低出生体重(VLBW)児の新生児期の呼吸・栄養管理と3歳時の新版K式発達検査2001(K式)の発達指数(DQ)との関連を検討し,発達予後を予測する要因を明らかにする.【方法】VLBW児222名をappropriate-for-gestational age(AGA)群116名とsmall-for-gestational age(SGA)群101名に分類し,K式の各領域DQを目的変数,人工換気期間,酸素使用期間,経管栄養開始時間,栄養量が100 mL/kg/日および150 mL/kg/日到達日齢を説明変数として重回帰分析を行った.【結果】DQは人工換気期間や酸素使用期間,経管栄養開始時間の負の影響を受けた.SGA群は更に栄養量が100 mL/kg/日に達した日齢に正の影響を,150 mL/kg/日に達した日齢に負の影響を受けた.【考察】新生児期の呼吸および栄養管理は,VLBW児の発達予後を予測する要因である.
島田療育センターはちおうじでは医療福祉相談科(療育部の窓口)と連携して神経発達症等の移行期医療に取り組んできた.2018年1月から2021年9月までに移行した145人に郵送での無記名アンケートを実施し2022年2月末までに60人から回答を得た(回収率41.4%).自由記述回答は文字データとして共起ネットワーク分析を行った.平均年齢22.7歳,主病名はASD39人,ADHD2人,知的発達症19人,手帳取得者は56人であった.移行について初めて聞いた年齢は平均19.5歳で,約30%が新しい病院・医師に不安を感じていた.移行後半数以上が困ったこと,よかったことはなかったと回答した.移行後の望ましい診療体制は,小児科10%,成人科23%,併診34%,わからない28%であった.困ったことは個別性が強く,個々に応じた多職種でのきめ細やかな移行システムを構築することで解決できるのではないかと考えられた.
トラウマインフォームドケア(Trauma-Informed Care:TIC)は利用者が経験してきたトラウマとその影響を理解して適切に対処することであり,小児医療においてはトラウマ関連症例に対応することが多いため普及が望まれるところであるがいまだ取り組みは少ない.そのため小児医療におけるTICの認知,理解,広がりについて把握し今後必要とされる対応について検討するため,全国の小児病院を対象にアンケート調査を行った.TICの概念は知られ始めたばかりであったが,TIC視点の対応を実際に患者に対してや医療スタッフ間において実践し効果を実感したことがあるとの回答も多く寄せられた.今後小児医療に関わる多くの人たちがTICの理解を深めることにより,患者も医療従事者などの支援者も共にトラウマにならないような対応やトラウマ症状を理解した対応を提供することができるようになり,小児医療がより安心・安全な環境となると考えられた.
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