小児の精神と神経
Online ISSN : 2434-1339
Print ISSN : 0559-9040
最新号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
第134回学会特集号「子どもの精神と心身を見守る―心身症、神経発達症、社会的養護、 多様な子どもの支援②」
教育講演2
  • 白川(西) 美也子
    2026 年66 巻2 号 p. 81-92
    発行日: 2026/07/01
    公開日: 2026/07/01
    ジャーナル 認証あり

    本原稿では,治療においてトラウマとアタッチメント,メンタライゼーションを念頭において関わっていくことの有用性を,事例のアセスメント場面と治療経過を題材にして論じる.筆者が日頃患者理解のために用いている臨床的レンズ「三層トポロジーモデル」に,Luytenらによるストレス・報酬・メンタライジングモデルを援用した生物学的理解——①ストレス系(トラウマ記憶),②愛着報酬系(自律神経系),③メンタライズ系(関係と意味)を援用し紹介する.このモデルは発達性トラウマに対応する臨床の中で発展してきたものであるが,従来のBio-Psycho-Socialモデルと相同でありながら,各層への神経生物学的な介入指針を与える点において実践的有用性が付加されている.最初の事例は当初「いじめによる適応障害」から「うつ病」という診断変遷をして1年間治療されたが改善しなかった14歳男児のアセスメント場面で,発達性トラウマを同定し介入し,学校の態度で生じた関係性トラウマを認識したことで,治療的展開が開始した.二事例目は複合的トラウマを抱えた女児で,TF-CBT・MBT・CRMを段階的に組み合わせた治療により回復した.「この子に何が問題か」ではなく「この子に何が起きたか/何が起きているか」を問う視点が,トラウマインフォームドな臨床の出発点である.

シンポジウム2
資料
  • 氏家 士富子, 塩川 宏郷
    2026 年66 巻2 号 p. 95-101
    発行日: 2026/07/01
    公開日: 2026/07/01
    ジャーナル 認証あり

    【目的】「言葉の遅れ」のある幼児にどのような様子があると自閉スペクトラム症と診断される確率が高まるのかを明らかにする.【対象】2022年4月~2023年3月の期間にA市子ども発達センターに「言葉の遅れ」を主訴として初診した117人(男児90, 女児27).【方法】保護者が記入した日本語版M-CHATの項目と診断分類との関係をベイジアンネットワーク分析により検討した.【結果】対象集団において,「言葉の遅れ」のある児が自閉スペクトラム症と診断される確率(事前確率)は0.6489であった.自閉スペクトラム症の診断と構造学習上関係のあったM-CHATの項目は「呼名に反応する(呼名反応)」「変わった動き・癖がある」「注意を自分のほうにひこうとする」の3項目であった.ベイジアンネットワーク分析により「言葉の遅れ」+「呼名反応がない」+「注意をひこうとしない」の3つが見られる児が自閉スペクトラム症と診断される確率は0.9287であった.【考察】主訴と特性の組み合わせにより診断確率を高めることができる可能性がある.

実践報告
  • 平林 優, 谷合 弘子, 鷲見 聡, 岩永 竜一郎
    2026 年66 巻2 号 p. 102-109
    発行日: 2026/07/01
    公開日: 2026/07/01
    ジャーナル 認証あり

    岩永らが開発した感覚運動質問紙(協調運動質問項目)を実施した結果と発達性協調運動症(Developmental Coordination Disorder: DCD)への対応などを後方視的に調べ,神経発達症診療における質問紙の有用性について検討を行った.対象は神経発達症のある小学1~6年生の学齢児67例で,診断は自閉スペクトラム症57例,注意欠如多動症8例,暫定DCD18例であった.質問は34問で,姿勢バランス,全身運動,手先の運動,球技スキル,口の運動の5つの領域からなる.それぞれの領域の合計点数が基準値(5%ile, 10%ile)を超えた人数とそれに対応する指標を後方視的に検討した.合計点数が5%ile以下,10%ile以下を示した症例の比率は,それぞれ,姿勢バランス22%,42%,全身運動30%,49%,手先の運動37%,54%,球技スキル19%,36%,口の運動36%,55%であった.神経発達症では基準値を超える症例の割合が高かった.質問紙の領域別評価を参考にし,リーフレットを用いてアドバイスを行った.質問紙は苦手な領域を簡便に把握できるため有用と考えられた.

書評
feedback
Top