抄録
【目的】自閉スペクトラム症の視線認知における脳内基盤解明を目指し,定型発達の視線認知活動を捉えることを目的とした.【対象と方法】定型発達3名を対象として視線認知課題中の脳活動を脳磁図(MEG)で記録した.課題では,研究対象者に「手がかり刺激が示す方向に従い,左右どちらかに呈示される標的刺激へ視線を移動する」よう教示した.手がかり刺激には,側方視した両眼の写真(Gaze条件)と矢印図形(Arrow条件)の2種類を用意した.脳磁図の解析は,刺激呈示から-100 ~ 700 msの区間を,2条件それぞれ約128回加算平均した.結果をSPM12によりMSP法を用いて分布電流源推定を行った.【結果】Gaze条件では,刺激呈示後160 ~ 200 msで顔および視線の動きに特有の反応であるM170がみられた.これらの活動は紡錘状回および上側頭溝付近にみられた.【結語】Gaze条件で「視線の動き」を認知する脳活動が観察されたため,本課題により視線認知における脳内活動を検出できる可能性が示唆された.