知的発達症児者への支援・福祉の増進を目的とした療育手帳制度はこれまで大きな変更なく運用されている.一方で,この目的とは合致しない判定交付の実状が示されており,本制度は瓦解しつつあることがうかがわれる.国際的診断基準に準ずる判定交付基準の統一化を促進する一助として,我々は厚生労働科学研究において,療育手帳の判定のためのノルム化検査(ABIT-CV)の開発を進めている.本稿ではその開発の経過報告を行った.ABIT-CVの知的機能および適応行動の評価パートも既存するノルム化検査で得られる知的機能および適応行動と強い相関が確認され,十分な妥当性が示された.知的発達症の判別精度については,被検査児者の年齢段階を問わず,感度(.875–1.00)および特異度(.979–1.00)は高い数値を示した.これらの結果を踏まえると,ABIT-CVを利用することで,公平で公正な判定交付を実現できると考えられる.