日本小児放射線学会雑誌
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特集 日本小児放射線学会雑誌アンケート
アンケートその3 小児放射線科領域における画像選択
日本小児放射線学会編集委員会
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2019 年 35 巻 1 号 p. 17-26

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趣旨について

今回のアンケートでは頭部外傷及び虫垂炎という小児を代表する疾患についてどのような画像検索を行っていくかを質問しました.まず軽度の頭部外傷そして中等度の頭部外傷(Fig. 1),虐待が疑われた場合(Fig. 2),5歳男児の虫垂炎が疑われた場合,超音波検査で虫垂が同定できなかった場合,同条件で性別が女児の場合(Fig. 3),15歳男児の場合,そして15歳女児の場合(Fig. 4),それぞれについて質問をさせて頂きました.今回のアンケートは最も煩雑な内容であり,ご質問に答えていただいた方に改めて感謝いたします.

Fig. 1 

頭部外傷

Fig. 2 

虐待

Fig. 3 

急性虫垂炎(1)

Fig. 4 

急性虫垂炎(2)

結果について

軽度の頭部外傷を有する患児ではPECARN及びCHALICEあるいはCATCHなどの大規模研究に則ったルールに基づいて判断する場合が約半数認められました.これ以外に全体の約30%程度がその時の主治医の意見に従うとする意見でした.一方で中等度の頭部外傷を有する患者でGlasgow Coma Scale 13点のものに関しては全体の約3/4でCTを撮影する,あるいは脳外科医,主治医などの担当する医師の判断に従うとの意見が多く認められました.頭部外傷の際の画像選択に対しては病院全体のルールが決まっている場合とそうでない場合で対応が異なる可能性を指摘されている方がいらっしゃいました(Fig. 5).

Fig. 5 

小児放射線科領域における画像選択 頭部外傷 回答

その次に虐待が疑われた場合に行う画像選択では,全体の約90%近くが全身骨撮影を行い,それ以外に約30%で頭部非造影CT,全体の25%で腹部超音波検査を行うという意見がありました.画像検査で虐待が疑われた場合に追加する検査としては頭部非造影CTが多かったですが,その他にも様々なモダリティを併用していると考えられました(Fig. 6).

Fig. 6 

小児放射線科領域における画像選択 虐待 回答

5歳男児の虫垂炎を疑う臨床症状を伴っている場合には,まず超音波検査を行うとの回答が全体の約80%を占めていました.さらに超音波検査で虫垂が同定できなかった場合には約70%程度で造影CTを行うと回答されました.それ以外に全体の12%で非造影CTを行い,8%で経過観察後超音波検査による再検が試みられていました.これは,年齢は同じであるが性別が異なる5歳女児の場合でも選択する画像は全体の90%で変化しないとの答えが得られ,変化すると答えた場合には全例で超音波検査を選択するとの答えが得られました(Fig. 7).年齢が異なりより体格の良い15歳男児の場合には,画像選択は90%では変化せず,変化するとの答えが得られた場合には造影CTを行うとの答えが50%で認められました.一方で性別が異なる15歳女児の場合には,全体の80%で画像選択に変化はなく,17%では変化するとの答えが得られました.15歳女児の場合には超音波検査が30%近くと最も多い回答でしたが,それ以外ではMRI検査の選択肢が全体の30%と多くなっていました(Fig. 8).虫垂炎の画像選択に関してはファーストチョイスは超音波検査ではありますが実際には造影CTを行う場合が少なくないとの意見が多く挙げられました(Fig. 9).

Fig. 7 

小児放射線科領域における画像選択 虫垂炎 回答(1)

Fig. 8 

小児放射線科領域における画像選択 虫垂炎 回答(2)

Fig. 9 

小児放射線科領域における画像選択 虫垂炎 回答(3)

 
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