日本小児放射線学会雑誌
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最新号
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特集 第60回日本小児放射線学会学術集会“Think globally, Act locally”より
  • 古川 理恵子
    原稿種別: 特集
    2025 年 41 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/24
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  • 笠原 群生
    原稿種別: 特集
    2025 年 41 巻 1 号 p. 2-8
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/24
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    小児肝移植は,重篤な肝疾患を持つ子どもたちにとって命を救う重要な医療手段である.1950年代に開始された臓器移植は,1963年,米国デンバーにて初めて小児肝移植が行われたことで新たな展開を見せた.しかし,当初は技術的な困難や免疫抑制の問題から成功率は低かった.その後,サイクロスポリンやタクロリムスといった免疫抑制剤の導入により移植の成功率が向上し,小児肝移植は広く普及するようになった.本論文では,日本における小児肝移植の歴史,現状,課題,そして今後の展望について詳述する.

  • 大脇 由樹, 伏見 幸弘
    原稿種別: 特集
    2025 年 41 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/24
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    小児放射線検査は,装置の大きさや検査音,造影剤や放射性医薬品の体内注入といった特性上,心理的不安感を引き起こすことが多く,適切な検査実施が困難になることがある.心理的ストレスに起因した体動は,再検査に伴う放射線被ばくの増大,さらには画像診断の正確性に影響を与える要因ともなり得るため,鎮静剤の使用もしばしば検討される.一方で,鎮静剤使用に伴うリスクも無視できるものではなく,使用にあたって適切な運用・環境整備が求められる.

    鎮静をせずに検査を進める方法としては,小児患者の認知発達段階に応じた検査に向けた準備(プレパレーション)を行い,検査への理解を深めることで不安を軽減することが有効である.本論文では,小児放射線診療における心理的ストレス軽減を目指し,プレパレーションを行う上でのポイントや,利用しやすいツールの紹介・解説を行う.

  • 久住(渡邉) 浩美, 佐藤 吉海, 山崎 裕哉
    原稿種別: 特集
    2025 年 41 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/24
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    磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging; MRI)の再構成技術としてPIQE(Precise IQ Engine)が開発された.人工知能(artificial intelligence; AI)であるディープラーニング技術(deep learning technology; DLT)を用いて開発されたDeep Learning Reconstruction(DLR)である.このPIQEを画像処理に用いることにより短時間で高解像度の画像が得られる.短時間で撮像可能であることは検査にあきてしまう小児でもMRI検査が可能になる.撮像中に胎動が起きやすい週数が小さい胎児でも撮像可能になる.高分解能でもあることは小児,胎児特有の小さな臓器の病変も詳細に描出可能になる.

  • 宮嵜 治
    原稿種別: 特集
    2025 年 41 巻 1 号 p. 24-31
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/24
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    本総説は左横隔膜ヘルニア(CDH),先天性肺気道奇形(CPAM),食道閉鎖症,肺分画症,先天性上気道閉塞症候群(CHAOS)に対する胎児MRI撮影の注意点と読影のTIPSを示した.また著者らの施設でのこれらの胎児MRIの研究,論文報告を交えて紹介した.CDHとCPAMにおいては縦隔の偏位の評価が必要でMSAの計測が役立つ.食道閉鎖症の診断にはシネモード撮影によるダイナミックな観察が有用である.肺分画症の診断にはSSTSE法による撮像が不可欠である.また食道気管瘻のあるCHAOSの診断,計測方法を示した.適切な検査と適切な読影ポイントは胎児MRI診断に必要な知識である.

  • 谷 千尋
    原稿種別: 特集
    2025 年 41 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/24
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    胎児骨系統疾患の診断において超音波検査に続く精査として,骨格全体を容易に把握できることから胎児CTが選択される.CT装置の進歩により放射線量をかなり低減しても胎児骨格の描出が可能となっている.しかし,CTは原理的に被ばく線量をゼロにすることができない.そこで,我々は放射線被ばくのないMRIで胎児骨格の評価ができないかと考え,我々の施設に保管されている胎児標本を使用し,MRIとCTにおける骨描出を比較検討する研究を行ったが,現状のMRIでは3D画像による胎児骨格全体の評価は難しいという結果となった.ただ,MRIのgradient echo(GRE)法による胎児骨形態評価の報告はいくつかある.また,MR bone image(CT like image)も臨床応用されてきており,今後のMRI撮像法の進歩によっては,胎児骨系統疾患の診断においてMRIがCTの代替手段となる日がくるかもしれない.

  • 稲毛 章郎
    原稿種別: 特集
    2025 年 41 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/24
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    心血管MRIの胎児心血管への応用は魅力的であり,欧米では約20年以上前から臨床的に撮像が開始されている.ただし,従来の心血管MRIと同様の方法で胎児心血管のデータを取得した場合,胎児心が小さく心拍数が高いこと,胎児心拍をモニタリングできないため通常の心電同期撮像が難しいこと,母体の呼吸と予測できない胎児の動きなど多くの制限が生じてしまう.近年胎児心血管MRIは技術的進歩を重ね,シングルショットイメージングから高解像度動的イメージングが可能となり,胎児心血管の解剖学的構造の視覚化,血流の定量化,血中酸素飽和度およびヘマトクリット値の定量化などができるようになっている.本稿では,胎児心血管の動的MRI撮像を可能にした胎児心電図取得技術の開発,加速イメージング技術,および動き補正アルゴリズムの改良などの技術革新について解説し,胎児先天性心疾患が胎児の循環生理学に及ぼす影響についても概説する.

  • 小澤 克典
    原稿種別: 特集
    2025 年 41 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/24
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    胎児治療は出生前に症状が進行し胎児死亡や障害を起こす疾患を対象としており,治療の有益性が母児の侵襲や早産のリスクより上回る必要がある.現在の胎児治療は,侵襲度によって経胎盤的薬物治療,超音波ガイド下治療,胎児鏡下手術,開腹直視下手術に分けられる.双胎間輸血症候群(TTTS)に対する胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(FLP)と,先天性横隔膜ヘルニア(CDH)に対する胎児鏡下気管閉塞術(FETO)は,欧州を中心にランダム化比較試験(RCT)が実施された.脊髄髄膜瘤(MMC)に対する子宮切開法(open surgery)による胎児手術は,米国でRCTが実施された.胎児胸水に対する胎児胸腔羊水腔シャント術は日本で臨床試験を実施し,保険診療となった.現在,MMCに対するopen surgeryや,重症大動脈弁狭窄症(CAS)に対する胎児大動脈弁形成術(FAV)は国内で臨床試験を実施中である.

  • 野澤 久美子
    原稿種別: 特集
    2025 年 41 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/24
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    造影剤には様々な種類があり,日常診療に欠かせない存在である.造影剤の使用は画像検査に有益な情報を加えることが多いが,使用に伴う一定のリスクがあり,造影剤毎に使用用途が決められている.安全に検査を施行し,検査をうけた患児が最大限の利益を得るためには,造影剤使用の必要性について検討し,禁忌や使用にあたっての重要な注意事項を正しく理解している必要がある.そのためには,造影剤の安全性に関する重要な情報を定期的に更新し,知識をアップデートすることが重要である.本稿では,CTに用いるヨード造影剤とMRIに用いるガドリニウム造影剤を中心に,造影剤使用の適応や使用の際の注意事項,副作用などのリスクといった基本的事項に加えて,小児特有の注意点や造影剤使用の考え方について述べる.

  • 丹羽 徹, 孫 旭陽, 横山 健人, キタロウ イルワン ビン モハマド アズラン, 岡崎 隆
    原稿種別: 特集
    2025 年 41 巻 1 号 p. 64-70
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/24
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    FLAIRは日常診療で行われる頭部の撮像にて,多くの施設でルーチンのシークエンスとして使用されている.FLAIRは反転パルスを利用して頭蓋内の生理的な水成分の信号を抑え,T2延長病変の検出がしやすくなるシークエンスである.一方で,脳溝に様々な要因で高信号が認められる.主な要因としては,タンパク濃度の上昇,出血成分,細胞成分(腫瘍性,炎症性を含む)の上昇,アーチファクトなどが考えられており,鑑別は多岐にわたる.FLAIR画像の評価においてはこれらを考慮し,臨床情報を考慮しながら診断を考えることが重要である.

症例報告
  • 小倉(川上) 愛由, 田中 邦昭, 渥美 ゆかり, 日馬 由貴, 岩井 篤, 小林 健一郎, 高橋 由紀, 松原 菜穂子, 山田 圭介, 宇 ...
    原稿種別: 症例報告
    2025 年 41 巻 1 号 p. 71-78
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/24
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    ゴーハム・スタウト病(Gorham-Stout disease; GSD)は,異常なリンパ管増生に伴う進行性骨融解を呈する疾患である.今回,局所症状を伴わず進行性に頭蓋骨の骨融解を認めGSDと診断した3歳男児を報告する.

    特に既往のない男児.3歳児健診で前頭部の陥凹を指摘され,その後7か月間で陥凹が増加した.頭部CT検査で陥凹部には軟部腫瘤を伴わず,骨硬化像や骨膜反応を欠く辺縁平滑な前頭骨の骨融解像を認めた.MRI検査でT2強調脂肪抑制にて頭蓋骨以外に脊椎骨・骨盤骨・大腿骨に多発性の高信号領域を認めた.後頭骨の高信号部位で骨生検を行いリンパ管の増殖像を認めGSDと診断した.髄液漏とキアリ奇形I型を合併していたためmTOR阻害薬であるシロリムス内服を開始し,その後は骨融解の進行なく経過している.

    進行性の骨融解をきたす疾患の鑑別,及び,GSDの合併症評価に詳細な画像検査は有用かつ必須である.

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