日本小児放射線学会雑誌
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最新号
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特集 第59回日本小児放射線学会学術集会“多角的に挑む小児画像”より
  • 古川 理恵子
    原稿種別: 特集
    2024 年 40 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/27
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  • 菊池 健二郎
    原稿種別: 特集
    2024 年 40 巻 1 号 p. 2-9
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/27
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    近年の画像検査や分子生物学的検査の技術進歩は著しく,未診断症例において確定診断がついたり,複数の疾患を統合した新たな疾患概念の誕生がある.さらに根治療法がなかった疾患においても,新たな治療法が開発され,疾患予後が大きく改善している.しかし,そのような時代になろうとも,診療の現場では問診や身体所見が極めて重要であることは変わらない.

    小児神経分野は,神経症候学を基盤とする事に加え,成長・発達という要素が加わることが特徴である.診察に非協力的であり神経学的所見が十分に取れないものの,呈する症状がある意味“素直”であるがゆえにその症状を捉えやすい側面もある.

    講演の前半では,代表的な神経症候学として歩行障害を取り上げ,経過や臨床症状と検査結果や画像所見との関係性をいくつかの症例を通して紹介し,後半では,てんかん発作を呈するいくつかの症例を紹介した.

  • 芳川 豊史
    原稿種別: 特集
    2024 年 40 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/27
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    1983年のトロントグループによる世界初の肺移植の成功から15年遅れて,1998年に本邦初の生体肺移植が成功裡に行われた.その後20余年が経過し,本邦における肺移植は,1,000例を超えた.成績も良好で,5年生存率は70%を超え,10年生存率も60%を超えるなど,世界屈指のレベルとなった.世界の肺移植数は,世界的にも経年的にも増加しており,本邦でも2022年は年間100例を初めて超え,今後,増加する医療である.しかし,小児肺移植数は世界的にも少なく,未成年者に対する肺移植は,世界で年間100例程度の実施数であり,10歳以下の症例は20例前後に過ぎない.また,本邦では,世界で唯一生体肺移植が継続して行われており,小児に対する生体肺移植も必須の治療オプションである.そこで,慢性呼吸不全に罹患する小児患者の治療の一つとして,肺移植が定着し,将来的に増加していくことを期待し,今回,肺移植の現状と未来について概説する.

  • 絹谷 清剛
    原稿種別: 特集
    2024 年 40 巻 1 号 p. 17-27
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/27
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    核医学治療とは,標的組織に発現する分子に特異的結合する物質を放射標識し,組織集積させることにより細胞死を惹起させるものである.古くには,放射性ヨウ素131Iによる甲状腺疾患しか存在しなかったが,昨今種々の標的に対する新規製剤が開発され,実臨床にあがる時代となった.診断用核種で標識された診断薬で,あらかじめ患者選択,線量評価などが可能である.従って,通常の化学療法や免疫治療とは異なり,画像診断(diagnostics)と治療(therapeutics)が一体化(theranostics)しているものである.小児領域においては,甲状腺疾患に加え,神経芽腫に対する131I-MIBGが保険応用に向けて議論されているところである.

  • 小関 道夫
    原稿種別: 特集
    2024 年 40 巻 1 号 p. 28-35
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/27
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    リンパ管腫(リンパ管奇形),リンパ管腫症,ゴーハム病,リンパ管拡張症は主に小児期に異常なリンパ管組織が浸潤するリンパ管疾患である.嚢胞性リンパ管腫は先天的に大小のリンパ嚢胞による腫瘤性病変で,起こる場所によって様々な症状を呈する.全身に拡張したリンパ管組織が浸潤するリンパ管腫症は,乳び胸水,心嚢水,骨溶解など病変の浸潤部位によって様々な症状を呈する.ゴーハム病も全身の骨が進行性に溶解する疾患で,リンパ管拡張症はリンパ管の先天的形態異常によって,浮腫やリンパ液が漏出する疾患である.これらは非常に似た症状を呈するが,病態が異なり,それぞれ画像所見も異なる.

    最近では,PIK3CA/RAS遺伝子変異が病変部位から検出されており,mTOR阻害剤であるシロリムスがこれらの疾患の病状を高い確率で抑えることが国内外で報告され,2021年に本邦で薬事承認された.リンパ管疾患の病態,疾患の鑑別,および新規治療法について,小児科医,放射線科医に向けて概要を解説する.

  • 原 尚子, 三原 誠
    原稿種別: 特集
    2024 年 40 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/27
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    我々は,18 MHzのリニアプローブ(Noblus,富士フィルム,旧・日立製作所)を用いたリンパ管エコーの有用性を報告してきた.リンパ浮腫患肢ではリンパ管が変性(拡張,硬化,閉塞)する.エコー検査でリンパ管変性を評価することで,リンパ管静脈吻合術などの手術成績が向上している.

    リンパ管を同定する際には,D-CUPSの指標を用いて静脈との鑑別を行う.つまり,Dopplerで色がつかない,Cross(近傍の静脈を素通り),Uncollapsible(プローブの圧迫でつぶれにくい),Parallel(複数本のリンパ管が並走),Superficial fasciaの直下にある,というのがリンパ管の特徴である.

    リンパ管エコーはリンパ管機能の診断にも有用である.低侵襲な検査で,コメディカルスタッフも施行可能である.従来リンパ管機能検査としてリンパシンチグラフィ,リンパ管造影などがあるが,いずれも実施できる医療機関は少ない.リンパ管エコーが普及すれば,様々な疾患で,より適切な診断,治療につながる可能性がある.

  • 山本 真由
    原稿種別: 特集
    2024 年 40 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/27
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    リンパ疾患は外傷性,先天性,腫瘍性,炎症性,特発性等,多種多様な原因により発症する.その主な病態は,リンパ管の損傷とリンパ液のうっ滞や過剰産生による破綻である.リンパシステムの全体像把握は難しく,特に肝臓や腸からのリンパ流の全体的評価は困難だが,近年の技術進歩により肝リンパ流の評価が可能となってきている.それにもかかわらず,リンパ系の画像評価は未だ発展途上であり,病態解析と治療計画の根拠とするには限界がある.小児患者に対する治療として,我々はリンパ管造影,胸管塞栓術,胸管破砕術,肝内リンパ管塞栓術等を用いて乳び胸水,乳び腹水,鋳型気管支炎,乳び心嚢症,蛋白漏出性胃腸症等を治療している.本稿では,我々が直面している実際の症例に基づいてリンパ疾患の病態を解説し,その治療により解決した領域と,これから取り組むべき課題を紹介する.

症例報告
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