日本小児放射線学会雑誌
Online ISSN : 2432-4388
Print ISSN : 0918-8487
ISSN-L : 0918-8487
最新号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
特集 第61回日本小児放射線学会学術集会“Collaboration and Progress:協働と進歩”より
学会報告
特集 第61回日本小児放射線学会学術集会“Collaboration and Progress:協働と進歩”より
  • 榎園 美香子
    原稿種別: 特集
    2026 年42 巻1 号 p. 5-12
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/24
    ジャーナル フリー HTML

    小児の中枢神経感染症および感染症関連急性脳症の神経画像診断は,予防接種の普及,疫学の変化(COVID-19パンデミック後の変化を含む),新たな疾患概念の提唱,そして画像技術の進歩に伴い,大きく変化している.本稿では,まず胎児炎症反応症候群(FIRS)と先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症に焦点を当て,その特徴,最新の知見,治療法の進展について概説する.次に,急性脳症の領域において,従来の診断基準を踏まえ,新たに提唱されたinfection-triggered encephalopathy syndrome(ITES)という疾患概念と,その最新の分類について詳細に解説する.

  • 小野 貴史
    原稿種別: 特集
    2026 年42 巻1 号 p. 13-19
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/24
    ジャーナル フリー HTML

    小児下気道感染症は小児診療において頻繁に遭遇する疾患であり,診療上は肺炎の有無や原因微生物の推定,抗菌薬投与の適否が問題となる.各国のガイドラインでは,小児下気道感染症に対するルーチンの胸部単純X線撮影は推奨されていないが,実臨床では画像から得られる病態生理学的情報が診療の助けとなる場面も多い.本稿では,小児市中下気道感染症をウイルス感染症と細菌感染症に大別し,それぞれに特徴的な病態と胸部単純X線写真所見との対応関係を整理した.細気管支炎,間質性肺炎,肺胞性肺炎,気管支肺炎,円形肺炎,壊死性肺炎,マイコプラズマ肺炎について,病態生理学的背景を踏まえて概説する.画像診断は病原体を同定するための手段ではなく,肺内で生じている病態を理解するための検査手段として位置づけ,年齢,流行状況,臨床経過と統合して解釈することが重要である.

  • 中井 義知
    原稿種別: 特集
    2026 年42 巻1 号 p. 20-28
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/24
    ジャーナル フリー HTML

    小児救急において腹痛や下痢を主訴とする患児は日常的に遭遇する.感染性腸炎の診断自体に画像検査は必須ではないが,全身状態不良例や重篤な合併症の評価を目的としてCTが施行される場面は少なくない.放射線科医には,感染性腸炎に典型的な画像所見を理解した上で,非感染性腸炎や外科的疾患を的確に鑑別する役割が求められる.本稿では,まずウイルス性および細菌性腸炎の病態生理を踏まえ,小児腹部感染症における基本的な画像所見を概説した.次に,カンピロバクター,サルモネラ,エルシニア,腸管出血性大腸菌感染症ならびにウイルス性腸炎について,臨床像,病変分布,注意すべき合併症と画像所見を整理した.さらに,鑑別を要する非感染性腸炎として,好酸球性胃腸炎,IgA血管炎,ループス腸炎,クローン病を取り上げ,感染性腸炎との画像的鑑別点を詳述した.小児腸炎の画像診断では,腸管壁の層構造,病変分布および腸管外所見を総合的に評価することが,適切な診断と臨床マネジメントに重要である.

  • 幸地 克憲, 中田 千香子, 文田 貴志, 加賀谷 啓太
    原稿種別: 特集
    2026 年42 巻1 号 p. 29-37
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/24
    ジャーナル フリー HTML

    小児における内視鏡的逆行性胆管膵管造影(endoscopic retrograde cholangiopancreatography; ERCP)は,その手技,小児の体格に合うスコープの問題,全身麻酔を要するなど制約が多い.近年,画像検査装置の機能向上により,より精細な肝胆道・膵管の画像が得られるようになり,小児ERCPの施行頻度は少なくなった.一方,体格の小さな小児では,得られた画像で診断に迷うことがあるのも事実である.成人領域では,ERCP処置具の開発が進むとともに,重症急性膵炎後walled-off necrosisに対する内視鏡的治療も行われるようになった.処置具に関しては,小児領域での応用が可能であり,小児におけるERCPは,単に診断するだけではなく,各種疾患,外傷にも応用可能と考えられる.本稿では,小児肝胆道・膵疾患や主膵管損傷におけるERCPによる診断とその治療について述べる.

  • 原田 太以佑
    原稿種別: 特集
    2026 年42 巻1 号 p. 38-45
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/24
    ジャーナル フリー HTML

    中枢神経系腫瘍の診断体系は,WHO第5版より分子遺伝学的な診断に重きをおいた変革が行われており,特に小児脳腫瘍と成人脳腫瘍は,その分子生物学的基盤が異なることが明確に分離された.本総説では,WHO CNS5の主要な変更点,特に小児型びまん性神経膠腫(pLGG/pHGG)の分類と,小児特有の分子異常(H3変異,BRAF変異など)を概説する.また,予後不良なdiffuse midline glioma(DMG),H3 K27-alteredの画像所見,およびBRAF阻害薬やH3K27M変異を標的としたONC201,CAR-T療法といった分子標的治療の進歩について述べる.最後に,分子診断と治療モニタリングにおいて,画像診断医が担うべきナビゲーターとしての役割,すなわちradio-genomics的アプローチと多職種連携の重要性を概説する.

  • 加藤 光広
    原稿種別: 特集
    2026 年42 巻1 号 p. 46-52
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/24
    ジャーナル フリー HTML

    神経細胞移動異常症は,大脳皮質層構造の乱れと異所性灰白質の出現を特徴とする.LIS1PAFAH1B1),DCXの同定は,無脳回・厚脳回・帯状異所性灰白質が連続体であることを明らかにした.介在ニューロンの発生に関与するARXは,機能喪失では滑脳症/脳梁欠損症を,機能獲得のポリアラニン配列伸長変異では,伸長数に比例し,てんかん発作や知的障害,運動障害の発症早期化・重篤化をきたし,介在ニューロン病と呼称される.微小管の異常をきたすチューブリン病は,内包前脚不明瞭化を特徴とする.チャネル異常が多小脳回で同定され,構造異常と機能異常の関連性が分子レベルで明らかにされつつある.mTOR活性化が限局性皮質異形成や巨脳症関連疾患をきたす一方,mTOR活性低下は滑脳症(厚脳回)をきたす.神経細胞移動異常症のような脳形成異常にも,てんかん発作や知的障害などの機能異常については,分子標的治療の糸口が見えてきている.

  • 岡田 侑樹
    原稿種別: 特集
    2026 年42 巻1 号 p. 53-60
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/24
    ジャーナル フリー HTML

    新生児の消化管疾患の診断においては,腹部単純X線や消化管造影検査といった被ばくを伴う検査が標準的であり,新生児の消化管超音波検査はまだ一般的であるとは言い難い.新生児は体格が小さく,脂肪組織も少ないため,体表からの消化管までの距離が短く,高周波の空間分解能の高いエコープローブで消化管の詳細な評価を行うことが可能である.新生児消化管疾患の診断における消化管超音波検査の有用性の報告は多数見られ,腸管血流の評価に関してもドプラ法の有用性が報告されている.一方で,新生児におけるドプラ法は,体動や啼泣の抑制が難しいこと,息止めができないこと,高頻度振動人工換気法(HFOV)施行時にはアーチファクトが発生してしまうことなどのために正確な評価が困難であることが少なくない.そういった背景のもと,新生児の消化管超音波検査における血流評価の有用性と限界について検討する.

  • 中田 千香子, 文田 貴志, 加賀谷 啓太, 幸地 克憲
    原稿種別: 特集
    2026 年42 巻1 号 p. 61-67
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/24
    ジャーナル フリー HTML

    血流を評価する装置として非接触性に微小循環血流動態をリアルタイムに画像化することが可能であるレーザースペックルを応用した医療機器が開発され,様々な臨床応用がなされている.今回我々は,処置や手術操作が組織血流に与える影響をレーザースペックル血流画像化装置を用いて評価した.①移動性精巣および挙上性精巣の精巣固定術における精索周囲組織の剥離操作前後での精巣血流は,剥離操作がより多く必要な挙上性精巣で血流低下率が高かった.②巨大臍帯ヘルニアの脱出肝臓を腹腔内へ還納する際,肝臓表面の肉眼的色調不良があっても血流は保たれていることがわかり,血流変化を評価しながら還納を進めることができた.処置や手術後の組織血流の低下は,その後の経過を左右する要因の一つである.レーザースペックル血流画像化装置は,非接触性に微小循環血流動態をリアルタイムで画像化することが可能であるため処置や手術介入の程度の指標となりえる.

  • 細川 崇洋, 小熊 栄二, 佐藤 裕美子, 田波 穣, 吉澤 信輔, 大橋 研介, 出家 亨一, 川嶋 寛
    原稿種別: 特集
    2026 年42 巻1 号 p. 68-75
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/24
    ジャーナル フリー HTML

    精巣捻転は,速やかに捻転解除が必要である.当院では超音波で診断し,用手整復を行っている.診断方法や,用手整復か外科的処置かの選択は病院ごとの適した方法で良い.

    精巣捻転の超音波所見は,患側精巣と精巣上体の腫大,精巣長軸の非対称,血流欠損もしくは低下,whirl pool sign,内部エコー変化である.捻転方向は内回りが高いとされ,観音開きに用手整復するのが基本である.精巣内の血流が過血流になり,whirl pool signの消失があれば,用手整復は成功したと判断する.過血流が見られない,もしくは血流がない場合は,不成功の可能性を考える.用手整復の整復方向は正しいが捻転残存している場合,そもそも捻転方向が間違えている場合があり,どちらかを判断する.用手整復は,捻転解除のみであり,外科的処置は,捻転解除,精巣固定,白膜切開が可能である.用手整復後に,速やかに外科的処置に移行するのが理想的である.

症例報告
  • 藤原 航, 藤井 喜充, 中村 弘樹, 土井 崇, 金子 一成
    原稿種別: 症例報告
    2026 年42 巻1 号 p. 76-82
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/24
    ジャーナル フリー HTML

    反復性の腹痛を主訴に受診した4歳の女児において,抜毛癖と自己毛髪異食の既往,および腹部超音波検査における胃内の部分的twinkling artifact(TA)の所見から「Rapunzel症候群に伴う毛髪胃石」と診断し外科的に摘出した.術中,十二指腸内および小腸内にも認めたため同時に摘出した.術後は短髪にしたところ,再発は認めていない.

    TAは,粗造な表面の強反射体で超音波が不規則に反射や散乱し,生じた時間や位相のずれを,カラードプラ装置が速度として誤認識するために生じ,結石や石灰化の診断に有用とされているが,本症例では陽性部分と陰性部分の混在する部分的なTA所見が特徴的であった.そこで裁縫糸を毛髪に見立てたファントム実験を行ったところ,部分的TAを再現できた.

    以上より,腹部超音波検査での消化管腔内腫瘤にみられるTAは,胃石症を示唆する診断的価値の高い所見と思われた.特に部分的TAは,毛髪胃石の可能性があり,治療方針決定において有意義であると思われた.

査読者一覧・編集委員会(Associate editor)
feedback
Top