日本小児放射線学会雑誌
Online ISSN : 2432-4388
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特集 子ども虐待の画像検査
スクリーニング検査
仙田 昌義
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キーワード: 全身骨撮影, 子ども虐待, AHT
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2020 年 36 巻 2 号 p. 84-90

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抄録

我が国の小児人口は減少しているが,児童虐待通告件数は年々増加している.医療機関では児童虐待を無視できない状況になっており,適切な対応が求められている.医療機関を訪れる多くの児童虐待ケースは外来にて「主訴」「問診」「診察」によって児童虐待を疑われて,更なる検索を行う.そのうちの一つに単純X線による全身骨撮影があげられる.主に2歳未満で虐待の可能性がある場合などは全身骨撮影が推奨され,更なる骨折等が発見される可能性がある.もし,新たな所見が追加されれば,その後の方針に大きく影響することになり,重要な検索の一つと言える.また,虐待による乳幼児頭部外傷(AHT)は見逃してはならない疾患のひとつであるが,軽症時の症状の一つである「嘔吐,不機嫌,哺乳不良」は非特異的な症状であり,他疾患との鑑別が難しい.よって,日常診療において,AHTをはじめとした児童虐待を見逃さないように常に鑑別に入れるべきである.

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© 2020 日本小児放射線学会
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