写真測量とリモートセンシング
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原著論文
インドネシアシダージョ地域に発生した火山性泥流の噴出災害とセルオートマトンに基づく拡散予測モデル
新井 康平Achmad BASUKI
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2010 年 49 巻 3 号 p. 149-158

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抄録

2006年5月29日,インドネシアシダージョ地域に発生した火山性泥流の噴出災害が発生した。この泥流は泥(約30%)と水(約70%)の混合流体であり,これが地表面に噴出して地域住民に,また,自然環境に多大な影響を与えている。泥流噴出は継続しており,この拡散を予測することが緊急課題である。セルオートマトンモデルによるシミュレーションを試みているが,既往研究では溶岩流モデル,流体モデルはあるものも泥と水の混合流体モデルはなく,また,人工的に土塁を築き,この泥流の拡散を防いでいるが,このような土塁や住居等の人工建造物の影響を考慮したモデルもない。さらに,地表面に噴出後に泥流表面の温度,物性(固形物の沈殿,流体の土塁からの流出,表面からの蒸発散)が変化することを考慮したモデルもない。本論文はこれらをセルオートマトンにおける着目セルと周囲の近隣セルとの関係の数学的記述において考慮し,また,地表面の標高をも考慮することができる泥流拡散予測モデルを提案している。SPOT/HRV,ASTER/DEMを用いて拡散予測精度を評価し,モデルの妥当性を明らかにしている。

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© 2010 社団法人 日本写真測量学会
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