2012 年 51 巻 4 号 p. 211-223
本論文では,トレーニングサンプル(SS)選択方法を組み込みながら,単一偏波の多時期SARと光学データをベイズ理論に基づいて統合して分類するフレームワークを提案する。このフレームワークでは,グレーレベル生起行列(GLCM)ベースの平均値テクスチャを用いた組合せが検討されている。より正確で空間的に分散したトレーニングサンプルを生成するSSの処理と,分類という2つの処理が統合されている。提案するフレームワークでは,多時期のSARデータから抽出された特徴-平均後方散乱係数,後方散乱の時間変動,長期間のコヒーレンス-と,光学データから抽出された反射率が,GLCMの平均値テクスチャを経由して統合されている。大阪を対象地に選んで分類が行われた。選択した土地被覆クラスは,市街地,野原,森林,水域であった。最も分類に適したデータは,異なるデータの相互補完,テクスチャの平滑化効果という点で,多偏波SARと光学データを平均値テクスチャを経由して統合するものであった。サポートベクターマシン(SVM)とニューラルネットワーク(NN)ベースのSS手法で改良されたトレーニングサンプルを用いて分類した結果が,全てのケースの中で最も高い分類精度を示した。