1974 年 13 巻 3 号 p. 1-6_1
1972年11月末横浜市の北部を対象として撮影された縮尺約1/8, 000のカラー空中写真の色調を測定し, 色調と土壌, 土地利用状況, 作物の種類などとの関係について検討を行なった。
1) 水田地帯の土壌では, 主宰波長および明度と, グライ化した黒泥層の出現する深さとの間にかなり密接な関係のあることが認められた。2) 裸地状態の畑の表土の土色の相違は直接写真上にあらわれ, 明度1程度の差は容易に識別することができ, 黒ボク土と腐植含量の少ない淡色黒ボク土との識別はきわめて容易である。3) 休耕田は枯れた雑草で明るい黄色系の色を示し, 普通水田との識別がきわめて容易であるだけでなく, 色調の差から休耕年次をもある程度推定しうるようである。4) 作付中の畑は作物の種類によりそれぞれ特徴的な色調を示している。したがってあらかじめ, 写真撮影時に栽培中の作物の種類およびその写真上の色をおさえておけばカラー写真からこれらの作物の栽培状況の概要を知ることが可能のようである。5) 以上の結果からみてカラー空中写真の土壌調査への活用性はパンクロ空中写真の場合より明らかに高いとみられる。6) 土壌調査に利用する空中写真は, 水稲刈取期後できれば年内で, さらに撮影前数日間降雨のない状態下で撮影したものでよい結果が得られるようである。