写真測量
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航空写真による潮流調査〈第1報〉
―理論と方法―
上谷 良吉高橋 務田中 邦一
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1966 年 5 巻 3 号 p. 89-96

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抄録

最近の我国における航空写真の利用は, 写真測量の技術の進歩に伴い, その応用面が拡大されると共に, 航空写真の有用性が広く認識されるにつれ, あらゆる分野で利用されるようになってきた。
その中にあって, 航空写真の港湾測量あるいは沿岸調査への応用は, 従来も行なわれてはいたが, 海図の作成か, またはそれを補足する程度で, その利用範囲は非常に限られたものであった。従って, 航空写真の判読をも加味した沿岸並びに港湾における潮流, 波高, 拡散, 水深, 海岸侵蝕形態等の測定調査への応用は極めて少ない状態であった。
しかしながら, 最近のように臨海工業地帯の拡大ならびに新産業都市の建設が急増すると, それに伴う港湾の整備, 新設にも拍車がかけられ, その工事も大規模化し, かつ全般的な工期の短縮が要求されるようになって来た。その結果, このための港湾測量あるいは沿岸調査も迅速かつ経済的に行なう事が必要になり, その精度についても, 従来より高度のものが要求されるようになった。
ここに航空写真の利用が必然的に考えられるようになった。
航空写真を利用した港湾測量, 沿岸調査については, 前述のようなものが上げられるが, 特に本論では, 1952年H. L. Cameronにより, 航空写真の視差々を利用して流速を測定出来るであろうという可能性が提唱されて以来, カナダやアメリカにおいては幾多の研究の結果すでに実用の段階にはいった潮流調査について, 筆者等によって行なわれた日本での研究ならびに応用例について紹介してみたいと思う。

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© 社団法人 日本写真測量学会
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