抄録
ディジタル・マッピングに必要なリモートセンシングデータの位置づけのための幾何学的データ処理に関する研究を行なった。リモートセンシングデータの問題点である解像力不足を補足するために, 低解像力のセンシングデータでの測定点の確認に, 解像力の高い他のデータを数値的に像合せすることにより精度向上を計る試みがなされた。これに関連して, 多段階のサンプリングのアイデアを位置づけに際して応用することが試みられ, 多段限コントロールシステムが, シミュレートされたマルチシリーズリモートセンシングデータおよび実験データ (ランドサットおよび航空機よりのMSSデータ, スカイラボ190BカラーIR写真, U2よりのカラーIR写真と普通カラー写真) を使ってテストされた。結果として, 数値的像合せをマルチシリーズデータ間の測定点確認に使えるであろうこと, 特にデータの前処理が像合せに効果的であることが, 比率データを多次元の相関係数の計算に用いる方法において示された。多段階コントロールの方法では, 適切な重みを割り合てたデータの同時調整法が最適解を生むと考えられるが, 実用的には順次調整法が最も好ましい結果を生むことが示された。実際データの直接, 順次, 同時調整の結果を解析した結果, データ間の測定点の相対的確認の精度の方が, 基準点の絶対的な確認より良いことが示された。このことは, 低次から高次へとコントロールを伝播する多段階コントロールシステムの有利性を示すものであろう。