写真測量とリモートセンシング
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スペースシャトル搭載用大画面カメラ
Frederick J. Doyle
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1977 年 16 巻 4 号 p. 26-30

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抄録
NASAは, 現在焦点距離30.5cm, フィルムサイズ23cm×46cmを有する地形図作成用高性能カメラを製作中である.このカメラは, スペースシャトルの初めの方の飛行に搭載される子定になっている。設計高度300km上空から, 225km×450kmの範囲をカバーし, 使用フィルムにより地上解像力は14mないし25mである。フィルムが飛行方向に長手サイズになるようにしてあるので, 基線長/高度の比を1.2まで上げられる。したがって20mないし30mの等高線間隔の地形図の作成が可能である。
もし, 実験飛行から得られた写真が期待どおり良好な場合には, ほゞ円軌道で自由飛行する宇宙船にこのカメラが搭載され, 何ケ月にもわたって撮影が行われる。フィルムはシャトルにより回収される。
ジェミニ計画で手持ちのハッセルブラッドカメラにより最初の宇宙写真撮影が行われた時から, 写真測量技術者は, 軌道衛星により, 空中写真測量から宇宙写真測量へと理論を拡張できるものと考えていた。LANDSAT計画の広範な成功にもかかわらず, 写真測量技術者は, LANDSATの映像が低解像力でかっ実体視ができないために, 実体図化が不可能であることに不満をもってきた。
1967年の昔に, 国立科学アカデミーの『地球観測衛星の有効利用に関する委員会』は, 世界中の地形図作成が可能なカメラシステムの開発を答申した。この答申によれば, システムは標定のための地形図用フレームカメラと, 平面的な詳細図化のためのパノラマカメラで構成されていた。この方法の可能性を検討するために, アポロ15号, 16号, 17号に似たようなシステムが導入され, 月軌道で実験された。これらの写真の測定にもとずいて, 月面上の点が三次元座標で30mの間隔の密度で標定され, 2万5千分の1の縮尺のオルソフォトマップが作成された。このようなシステムが地球観測軌道に採用されるよう何度か提案されながら, 種々の理由により, このシステムは実現されなかった。
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© 社団法人 日本写真測量学会
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