抄録
著者が先に発表した空中写真のステレオマッチングの手続きである多段階相関法には、隠蔽部分に対する考慮がされていなかった。この論文は隠蔽部分を含む画像にも適するように手法の改良を試みたものである。主要な論点は次の様である。
(1) 隠蔽部分ではマッチングの迷走が生じる。これまでは計測したx―視差の微小振動を除去するために低域通過フィルタをほどこしていたが, これによると隠蔽部分では地形が強制的になめらかに再現されてしまう。
(2) 低域通過フィルタのかわりにメディアンフィルタを用い, かつ段階的に隠蔽部分を見出していく手続きを提案し, それが基本的には有効に働くことを実験で示した。
(3) この手続きによっても隠蔽部分とその周辺でマッチングの迷走が発生することがあるが, 正確なマッチングを防げる主たる要因はマッチングの収束の安定性が不足していることであることが明らかになった。