写真測量とリモートセンシング
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動画像解析による都市空間データの効率的取得と3次元モデリング手法に関する研究
國井 洋一
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2005 年 44 巻 3 号 p. 46-51

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抄録

国土空間情報整備の目的から, 国土空間データの効率的取得手法が課題となっている。特に人口, 資産が集中する都市域に対する空間データの整備は防災, 環境, 都市再生などにおいても重要な課題である。
現在, 空間データの取得には航空写真の利用が主流であるが, 最近では人工衛星画像, 動画像, スリーライン・スキャナなどの利用も注目されている。しかし, いずれの方法にしても取得した画像データから建造物などのエンティテーの抽出・同定手法, さらにはエンティテーに対する3次元データを取得するためのカメラキャリブレーション手法, 合意形成の支援を目的とした空間データの3次元表現などの効率化が問題となっている。
従来, 画像情報から空間データを取得するためには, 抽出されたエンティテーに対する特徴点のマッチング処理を行った後, 特徴点を線分で結んでエンティテーの同定を行い, さらにその特徴点に対する3次元データの算出を行っている。この方法は, 基本的には手動により点から線, 線から面を構成していくものであるが, 上記の過程において線分抽出と線分に対するラインマッチングとを同時に行うことにより作業の自動化が図られると考えられる。
一方, 同定されたエンティテーに3次元データを与えることによりワイヤフレームモデルやサーフェイスモデルとして空間データの3次元表現が可能になるが, 同定されたエンティテーの3次元データを画像から取得する場合にはカメラキャリブレーションを行う必要がある。しかし, カメラキャリブレーションのためにはあらかじめ地上において基準点測量が実施されておかなければならず, この地上基準点測量に多大な時間が取られているのが現状である。
以上の背景より, 本研究では都市空間データの効率的取得と3Dモデリング手法の開発を目的として, 市街地上空より撮影された動画像を用いて効率的なラインマッチング手法, 地上基準点を必要としないカメラキャリブレーション手法および空間データのモデリング手法について検討を行うこととする。

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© 社団法人 日本写真測量学会
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