日本惑星科学会秋季講演会予稿集
日本惑星科学会2003年秋季講演会予稿集
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オーラルセッション2 10/8(水)10:45~12:00
均質核生成の分子動力学シミュレーション
*田中 今日子河村 雄行田中 秀和中澤 清
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p. 9

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抄録
核生成理論は、天体周りの固体微粒子の非平衡凝縮過程を調べる際の重要な武器である。一方、核生成理論により得られる凝縮核の生成率には不定性が挙げられている。我々は過飽和状態のガスからクラスターが生成される分子動力学シミュレーションを行ない、理論の検証を試みた。 分子動力学シミュレーションを行なう際、粒子数は5000体から最大1万体とし、シミュレーション中、体積、温度は一定に保つように設定した。また、本研究の目的は理論を検証することなので、相互作用ポテンシャルは、簡単な関数で表せるレナードジョーンズポテンシャルを用いた。 過飽和状態から計算を行なうと、系はガス分子の状態では不安定なためクラスターが生成し始める。核生成率はこのゆらぎによって生成されるクラスター数により決まると考えられるため、クラスター分布を精度良く求めることが重要である。よって我々は同じパラメータ(粒子数、体積、温度)のもと、粒子の初期位置を変えた10のシミュレーションを行い、そのアンサンブル平均からクラスター分布を求めた。さらに、生成されるクラスター数の時間変化から核生成率を求めた。このシミュレーションにより得られるクラスター分布と核生成率を理論のものと比較することにより、詳細な検証が可能となる。 分子動力学シミュレーションと理論との比較を行った結果、シミュレーションにより得られるクラスター分布は、古典的核生成モデルを補正した半現象論的核生成モデルと大変良く一致することが分かった。また核生成率もファクター以内で一致していることが明らかになった。
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© 2003 日本惑星科学会
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