主催: 日本惑星科学会2005年秋季年会実行委員会
「巨大衝突仮説」の拠り所の一つとなっているのが、CanupらによるSPH法を用いた一連の数値実験である。しかし、これらの計算には有効空間分解能が円盤の半径程度しかないという深刻な問題がある。今回、我々は高精度の3次元Euler-Mesh数値流体コードを用いて、巨大衝突仮説の再検証を行った。しかし、衝突で形成される円盤から予想される月質量は数日のタイムスケールで急激に減少し、このモデルでは現在の月を形成することは極めて困難であることがわかった。これを避けるためには、円盤内で圧力がほとんど効かないという状態方程式に従う必要がある。