抄録
脳卒中後遺症患者へ歩行訓練をする際、脳卒中前に和服を愛用していた婦人と肉体労働者とでは、ほぼ同じ脳損傷部位をもっていても筋緊張の分布やそれによる歩行パターンが異なることが臨床的に確認されている。これは過去の習慣的パターンや個人差が筋緊張のγ偏倚に影響を与え、個別の人の表現型として現れていることを示す。今回、我々は入院中の脳卒中片麻痺患者を、脳卒中前に野球経験のあった野球経験者群と非スポーツ経験者群の2群に分け、臨床的に確認されるγ偏倚について、肩関節の可動域·筋緊張の統計的データに基づき、検討を行った。結果より、病前の野球という個別の経験が筋緊張のγ偏倚に影響を与えていたことが検証できた。