主催: (一社)日本予防理学療法学会、(一社)日本理学療法学会連合
共催: 第5回 日本栄養・嚥下理学療法研究会学術大会, 第4回 日本産業理学療法研究会学術大会, 第56回 日本理学療法学術大会
会議名: 第8回 日本予防理学療法学会学術大会
回次: 1
開催地: Web開催
開催日: 2021/11/13
p. 125
【はじめに、目的】
現在、「訪問型サービスC」が導入され、介護予防推進リーダーの介入方法として、非接触による、動作指導や専門支援が行われている。非接触的な介入の手段として、模倣や口頭指示が挙げられる。臨床の場面において、口頭指示により動作が変化することを経験した。そのため、日常生活自立度に関連する歩容や歩行速度に着目し、口頭指示の違いによる変化を比較し検討した。
【方法】
対象は整形外科的、神経外科的疾患の既往のない健常若年者20名(男性18名、女性2名、平均年齢28.35)とした。課題は、自然歩行と3つの口頭指示(1.大股で歩いてください、2.踵から足がつくように歩いてください、3.後ろ脚をギリギリまで残して歩いてください)による歩行の4通りとした。距離は10mとし、その様子を動画で撮影した。この条件により、立脚後期のTraling Limb Angel(以下、TLA)、歩数、時間を測定し、口頭指示間での差があるのか対応のあるt検定及びWilcoxson兼定を行った。解析には改変Rコマンダー4.0.2(personal.hs.hirosaki-u.ac.jp)を引用し、有意水準は5%とした。
【結果】
TLAは、自然歩行:15.47°、指示1:22.04°、指示2:17.25°、指示3:21.34°。時間は、自然歩行:7.27秒、指示1:6.27秒、指示2:7.41秒、指示3:7.68秒。歩数は、自然歩行:15.40歩、指示1:12.45歩、指示2:14.05歩、指示3:12.55歩となった。TLAは自然歩行と指示1、指示3間に、歩数は自然歩行とすべての指示間に有意差を認めた。また、時間では、自然歩行と指示1間に有意差を認めた。自然歩行と比べ、TLAは角度増大したこと、時間と歩数は短縮した場合を有意差とした。
【結論】
本研究の結果では、臨床場面で多く使用されるように、大股歩行の指示1が歩容、歩行速度に最も大きな変化を起こすことが分かった。このことから、非接触において歩行動作の指導には大股での歩行を促すことが有効であると考えられる。しかし、本研究の被験者は健常若年者であった為、介護予防が必要な年代において有効であるかは定かではない。そのため、今後は被験者の対象年齢を変えて比較、検証を続けていきたい。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は倫理的原則に基づき、対象者の個人情報を保護し、対象者への研究の目的、方法等を説明した上で自由意思により同意を得て実施した。また、東和病院倫理委員会の承認を得て実施している。