主催: (一社)日本予防理学療法学会、(一社)日本理学療法学会連合
共催: 第5回 日本栄養・嚥下理学療法研究会学術大会, 第4回 日本産業理学療法研究会学術大会, 第56回 日本理学療法学術大会
会議名: 第8回 日本予防理学療法学会学術大会
回次: 1
開催地: Web開催
開催日: 2021/11/13
p. 145
【はじめに、目的】
平成28年に施行された学校保健安全法の改正に伴う運動器検診の開始により、理学療法士による継続的な学校保健領域への支援が期待されている。今回、高校生の運動器検診において、活動する機会を得られたため、活動内容の報告を行うとともに今後の課題について検討することを目的とした。
【方法】
山梨県公立高校1校の全校生徒633名(男子388名、女子245名)から、運動器検診前に理学療法士が作成した問診表を基に該当する学生を対象とした。項目は、1)両肩・両肩甲帯の高さに差があるか(側弯症)、2)腕が真っ直ぐあがり耳につくことが可能か、3)肘屈曲・伸展、4)体幹の前屈・後屈、5)しゃがみ込み、6)片脚立位、7)自由記載の7項目とした。学生および保護者が記載した問診票を、学校医が項目を確認しながら運動器検診を行った。7項目のいずれかに該当したものは学校医の検診終了後に、別室で待機している理学療法士が項目に対して、実際の動きを確認しながら問診および機能評価を実施した。
【結果】
全校生徒633名中、232名が該当し対応を行った。学年別では、高校1年生66名(男子111名中44名、女子62名中22名)、高校2年生79名(男子125名中48名、女子98名中31名)、高校3年生87名(男子152名中57名、女子85名中30名)と学年が上がるごとに対応者数の増加がみられた。男女差については、全学年を通して男子の方が対応人数多い結果となった。全校生徒数に対して各学年の男女対応数の割合については、1年男子39.6%、1年女子35.5%、2年男子38.4%、2 年女子31.6%、3年男子37.5%、3年女子35.5%であった。各学年男女とも3割から4割近くの生徒を対応する結果となった。
【結論】
運動器検診を行い全体の4割近い生徒を対応する結果となった。理学療法士が運動器検診等を通して、学校保健に介入し学生に対して継続的な評価と指導を行い、怪我等を防ぐことができると思われる。しかし、学校保健に介入していくためには課題も多いことが分かった。理学療法士の認知が十分ではないため、現場の教職員が運動器検診を理解していないことが多い。また、学校保健分野に介入していくためには、運動器疾患の知識だけでなく、学校分野全般の知識を有する必要がある。今後も新たな課題が見つかる可能性はあるが、理学療法士の学校保健領域への支援について大きな可能性があると思われる。
【倫理的配慮、説明と同意】
対象者および保護者に対して説明と同意を得た上で、実施した。本研究は健康科学大学倫理委員会の承認を得て行った。なお収集したデータは個人が特定できないように匿名化した。