主催: (一社)日本予防理学療法学会、(一社)日本理学療法学会連合, 第58回 日本理学療法学術大会
共催: 第6回 日本産業理学療法研究会学術大会
会議名: 第10回 日本予防理学療法学会学術大会
回次: 1
開催地: 函館市民会館・函館アリーナ(函館市)
開催日: 2023/10/28 - 2023/10/29
病気に罹患し治療が必要になると,これまでの生活の在り方に変化を与え,様々な不安を伴うことがある.そのうちの一つが仕事に関するものだろう.病気になってこれまで通り働けるのか,仕事があるのに治療はどうすればいいのか,と考える人々は少なくない.近年では,治療と仕事の両立への支援(以下,両立支援)が推進されている.当院においては,2014年度に両立支援モデル事業を開始して以降,両立支援コーディネーターが中心となり,支援を推し進めてきた.公認心理師である演者も両立支援に携わり,多職種連携と相談業務を通して,患者への心理支援を実施している. 多職種連携では,患者本人と直接関わる支援者と協議を行うなかで,心理面についてアセスメントした情報を共有する.例えば,本人は何を感じてどう葛藤しているのか,考え方や行動のパターンの傾向はどのようなものか,そしてそれらの心理状態は職場や生活といった環境のなかでどう生じているのか,などである. そして,両立上の課題に心理状態が強く影響している場合,本 人との相談を実施する.本人からは,様々な形で困りごとが語られる.例えば,医療上は就労可能でも就労に自信がもてない,体調や治療を考慮して仕事を調整するのは職場に申し訳ない,仕事のストレスから治療に取り組みづらい,などである.相談では,語りの背景に絡む心の働きを探りながら,両立のためにできる工夫や対応を本人と共に模索している. 一方で,これらの仕事や両立の話をする前に,体の状態を考え ることが優先されるのではないだろうか.就労や生活に制限が生じる場合は,それを踏まえたうえで両立を考える必要がある.支援場面では,まずは体の情報と関わりを把握したうえで,心理面からのアセスメントやアプローチを重ねる.本人らしい両立の在り方に繋がる支援を行うためには,多職種による多角的な情報と関わりが大切だと考える.本発表では,両立支援における公認心理師の取り組みを紹介しながら,多職種とともに行う心理支援について検討したい.