日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第10回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: YP-09-3
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予防ポスター9(介護)
いきいき百歳体操簡易版の効果検証
天久 拓哉山内 裕樹比嘉 清志郎島川 朋享磯部 雄貴立津 統
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抄録

【はじめに、目的】

n当院が所在する沖縄県浦添市は、介護予防・日常生活支援総合事業で、いきいき百歳体操簡易版 (通常版運動19種類に対して簡易版12種類)を使用した体操教室を週に1回以上、継続して行えるための立ち上げを支援している。いきいき百歳体操簡易版は介護予防で有用と思われるが、その効果を検証した文献は少ない。 n今回、教室初日と終了時に参加者の身体機能を測定し、その効果を検討した。

【方法】

n平成29年6月から令和3年2月までの期間に浦添市内13自治会の教室参加者の内、初日と終了時の測定に参加し、測定項目全てを満たしている男性11名 (平均77.2±8.3歳)、女性55名 (77.8±6.2歳)を対象とした。初日と終了時 (開始から3か月後)に、Body Mass Index (以下BMI)、血圧、握力、坐位ステッピング、片脚立位、Timed Up and Go test (以下TUG)、 30-second chair-stand test(以下CS-30)の項目を測定した。各項目に対して対応のあるt検定とWilcoxon検定を行い、有意水準を5%未満とした。

【結果】

n男性はBMI、血圧、握力 (両側)、片脚立位 (両側)、TUGについては有意差を認めず、座位ステッピング (p= 0.02)、CS-30 (p= 0.02)で有意差を認めた。女性はBMI、血圧、握力 (両側)、片脚立位 (右側)については有意差を認めず、坐位ステッピング (p= 0.00006)、片脚立位 (左側:p= 0.02)、TUG (p= 0.03)、CS-30 (p= 0.02)で有意差を認めた。

【考察】

n本研究結果から坐位ステッピングとCS-30で男女共に有意に 向上が認められ、いきいき百歳体操通常版の先行研究と類似した結果となった。先行研究ではTUGも改善が認められているが、本研究では女性で有意差が認められたが、男性では向上していたが有意差は認められなかった (中央値:初日7±2.6秒、終了時6.38±2.3秒)。本研究集団ではTUG速度が比較的速かったことから、変化しにくかった可能性があると推測される。中村らは片脚立位に有意差があったと報告しているが、本研究では片脚立位では数値のばらつきが多く、女性の左側のみ有意差ありという結果となった。測定を複数回ではなく、1回で実施したことも要因の一つと考えられる。 nいきいき百歳体操簡易版では通常版と比べ変化の少なかった項目はあったが、同様の短期的効果がある事が示唆された。今回いきいき百歳体操の立ち上げを行っていない集団との比較が困難だったことと、対象者数が少なかったことから今後の研究課題とする。

【倫理的配慮】

本研究の趣旨、個人情報保護法の遵守を口頭で説明し、同意を得た上で実施した。

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