日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第10回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: YP-11-2
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予防ポスター11(サルコ)
簡易式基本動作チェック表における予測妥当性の検討
浦田 祥吾岩間 基大井 慶太
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抄録

【はじめに】

地域包括ケアシステムで推奨される時々入院ほぼ在宅の実現には、退院後も高齢者ができる限り長く在宅で過ごせることが重要となり、病院側と介護保険関連施設側との円滑な多職種連携は必要不可欠である。我々は多職種連携の効率化と共通認識を図ることを目的に、在宅高齢者の身体機能を簡易に安全に評価できる「簡易式基本動作チェック表」を開発した。 本研究の目的は簡易式基本動作チェック表 (以下、簡易式チェック表)の予測妥当性を検証するために、簡易式チェック表の合計得点とBerg Balance Scale(以下、BBS)及び、Functional Independence Measure(以下、FIM)との関連性について明らかにすること。

【方法】

対象は当院の入院患者および当法人施設の通所リハビリテーションの利用者52名(男性22名、女性30名、平均年齢78.7±9.3歳)とした。 簡易式チェック表は、臥位から歩行までの一連の基本動作を7つの運動項目に集約し構成される。運動項目は仰臥位での頭部挙上、脚伸展挙上、座位での上肢前方リーチ、殿部挙上、立位での体幹屈曲、後方への左右振り向き、足踏みであり、1項目1点の合計7点満点である。尚、BBS、FIMは総得点を採用し、カルテより後方視的に調査した。 統計処理は、簡易式チェック表の合計点数 (以下、合計点数)と BBS、FIMの関連性についてSpearmanの順位相関係数を用い検証した。また、各合計点数間におけるBBS及びFIMの総得点の差はKruskal-Wallis検定を用いて比較した。さらに、合計点数を1-4点群と5-7点群に分類し、BBSおよびFIM総得点の差を Mann-WhitneyのU検定を用いて比較した。

【結果】

合計点数の内訳は7点23名、6点10名、5点8名、4点2名、3点 6名、2点3名であった。合計点数とBBSの相関係数は0.777、 FIMの相関係数は0.636であった。各合計点数間におけるBBSと FIMの差について、BBSでは合計点数7点と5点および3点、6点と3点に有意差を認めた。FIMでは合計点数7点と3点に有意差を認めた。合計点数1-4点群と5-7点群におけるBBS、FIMの差はそれぞれ有意差を認めた。

【考察】

本研究において、BBSは合計点数7点と5点に有意差を認めたのに対し、FIMでは7点と3点に有意差を認めた。これらのことから、合計点数5点までにおいてADLへの影響は僅かであると示唆された。しかし、バランス能力低下等の影響は及ぼされている可能性もあり、今後はのちのADL低下を予見できることが求められる。

【倫理的配慮】

本調査は当法人の研究倫理委員会の承認を得て実施した。

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