主催: (一社)日本予防理学療法学会、(一社)日本理学療法学会連合, 第58回 日本理学療法学術大会
共催: 第6回 日本産業理学療法研究会学術大会
会議名: 第10回 日本予防理学療法学会学術大会
回次: 1
開催地: 函館市民会館・函館アリーナ(函館市)
開催日: 2023/10/28 - 2023/10/29
【はじめに、目的】
当院では2020年度より、群馬県みなかみ町の委託事業としてフレイル予防教室 (以下、教室)を開催してきた。中でも2021年度および2022年度は、高血圧重症化予防を含めた教室を開催した。本研究の目的は、前述2期の教室参加者の血圧の変化について分析し、効果的な教室運営の基礎資料とすることである。
【方法】
前年度の後期高齢者健診結果をもとに、参加者を選定した。参加要件はBMI 20以下または1年に2kg以上体重が減少 し、かつ健診時高血圧を認めた者とした。教室は1回90分とし、月2回頻度で半年間全12回とした。内容はフレイル予防および高血圧重症化予防に関する講話、実技、ワークとした。参加者は起床時の家庭血圧および来院時血圧の測定を行った。教室では他にも体重、下腿周径、握力、1日あたりの歩数、Life space assessmentからなる体力テストや管理栄養士による調理実習、味噌汁の塩分濃度測定、食事調査 (摂取エネルギー、タンパク質、塩分)を実施した。分析では、2期、同期間の血圧を抽出し、開始期、終了期の血圧、体力テストおよび食事調査結果について対応のあるt検定またはWilcoxonの符号付順位検定を用いて比較検討した。なお有意水準は5%とした。
【結果】
分析対象は10名 (男性2名、女性8名)であり、うち7名 が高血圧治療薬を服用していた。年齢は77歳、身長は150.9cm、開始期および終了期の体重は47.6kgおよび47.9kgであった。体力テスト、食事調査の統計学的検討では握力のみ有意な低下を認めた (p=0.010)。10月初旬および2月下旬の1週間の家庭血圧の平均値は、収縮期血圧125.3mmHgから123.4mmHg (p=0.495)、拡張期血圧75.2mmHgから73.5mmHg (p=0.095)と拡張期血圧の低下傾向を認めた。また来院時血圧の初期、終期それぞれ3回ずつの平均値は、収縮期血圧150.7mmHgから 142.8mmHg (p=0.053)、拡張期血圧77.1mmHgから 75.6mmHg (p=0.052)といずれも低下傾向を認めた。
【考察・結論】
フレイル予防・高血圧重症化予防教室参加者の血圧は来院時のみ高血圧を呈する、白衣高血圧様の状態であった。教室参加は血圧動態を継続的に確認できるとともに降圧の一助となる可能性が示唆された。
【倫理的配慮】
本研究を実施するにあたり、個人が特定されない形で調査結果を公表することについて、書面にて説明し同意を得ている。また、本研究の実施、公表にあたりみなかみ町より了承を得ている。