主催: (一社)日本予防理学療法学会、(一社)日本理学療法学会連合, 第58回 日本理学療法学術大会
共催: 第6回 日本産業理学療法研究会学術大会
会議名: 第10回 日本予防理学療法学会学術大会
回次: 1
開催地: 函館市民会館・函館アリーナ(函館市)
開催日: 2023/10/28 - 2023/10/29
【はじめに】
埼玉県では、平成26年度から「地域リハビリテーション支援体制」の整備および、「地域づくりによる介護予防」を推進してきた。平成28年度からは、「埼玉県地域包括ケアシステムモデル事業」により、介護予防や地域ケア個別会議による自立促進と、生活支援体制整備を進めてきた。結果、全市町村 (63市町村)で、地域の特色を活かしながら介護予防に取組中である。今回、通いの場の効果評価と、市町村内の多事業連携に向けた取り組みを報告する。
【通いの場の効果:個人・グループ・市町村】
個人への効果:①自主グループ活動へ参加することで、体力測定結果の向上 (3ヶ月間の前後評価)、②心身の変化に対するアンケートから、「連続歩行可能時間が1時間以上可能となった、生活に張りが出た」などの変化を感じている人が多い。 グループや市町村全体への効果:①グループ参加者と一般市民を比較した際に、自主グループ参加者の方が主観的幸福感や健康感で、より高い結果を示した。②介護予防サポーターや自主グループのフォローアップを行う中で、「地域の課題や取組について意見交換・提案される」など、能動的な行動変容も見られた。
【多事業連携に向けて】
活動の経過から、住民や関係者より以下の意見が示された。 ①参加者には虚弱化が進んでいる方もいる、②気になる人を地域包括支援センターに相談している、③通所型サービスC事業 (以下、通所C)があり、通いの場との関わりが気になる、④地域の様々な活動とつながるにはどうしたらよいか (通所C利用者 46名中、16名がつながった)、⑤本人のしたい事を叶えるために私達は何ができるか? これらから、市民にとって、より効果的な介護予防事業とするために、様々な地域資源 (多事業)の関係者と、対話や連携を始めた市町村が増えてきた。
【まとめ・今後の展望】
通いの場の効果評価は、心身機能の変化、運動・外出・社会 参加の頻度、健康感・幸福感の変化など、個人・グループ・市町村それぞれのレベルで行い、その結果を関係者と共有し、継続的に行うことが必要と考える。また、介護予防の取り組みをきっかけに、周辺の住民・関係者の共通認識づくりや、連動・連携につながるプロセスも、「地域づくりによる介護予防」の効果ではないかと考える。今後も個人・グループへの効果および、市町村全体への効果に対する議論 (評価)を行っていきたい。
【倫理的配慮】
本報告はヘルシンキ宣言に基づき実施した。また、データは匿名化処理を行い、個人情報保護に十分配慮して管理した。