日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第10回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: SP-01-3
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産業ポスター1(健康)
乳がん患者の治療と仕事の両立支援に関する介入 システマティックレビュー
村上 武史舩津 康平樋口 周人久原 聡志原田 有里沙高木 絵里子立石 清一郎佐伯 覚
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抄録

【はじめに】

日本のがんの罹患者数は年間100万人で、そのうち約3割を15~64歳の生産年齢者が占めている。そのなかで乳がんにおいては、復職率及び就労世代での5年生存率は高値であり、仕事と治療の両立支援 (両立支援)ニーズは高いと予想される。そこで本研究の目的は、就労世代における乳がん患者の復職及び就労継続に関する介入を文献調査にて抽出し、必要な両立支援を検討することである。

【方法】

キーワードを用いPubMedのデータベースを使用した。研究者2名が独立し、該当した英語文献について文献選別を行 った。意見が分かれた場合、第3者との協議を行った。包含基準は研究デザインが無作為化比較試験、非無作為化比較試験などの介入研究、観察研究で、対象者が乳がん診断時に有給雇用の可能性がある18歳以上、介入方法が復職及び就労継続に影響する要因及び障壁への対処(職場での調整、身体的活動、手術、多職種連携)への介入とした。除外基準はレター等の一般的論文体裁を成さないもの、レビュー論文、就労能力未獲得の患者へのアプローチ、リスク要因の検討のみの論文とした。

【結果】

検索の結果、PubMedで1907編がヒットした。タイトル及びアブストラクトから今回の目的に該当する文献は42編に絞られ、本文の詳細な検討により計25編が抽出された。 介入は、ほとんどが医療機関で行なわれているものであった。介入内容としては、退院後の電話による介入や個別運動介入が多かったが、事業所に対する介入もあった。アウトカムは復職率、病休期間、身体機能、健康関連QOL、仕事における生産性などが含まれていた。また本邦における報告はなかった。

【考察】

調査期間による影響もありばらつきを認めるが、乳がん患者の復職率は50%-90%と比較的高値であった。また介入による効果としては、病休期間の短縮や身体機能の向上を報告するといったものから効果が不十分と一定の見解が得られず、今後より効果的な介入内容の検証が必要となる。今回本邦における報告及び理学療法士が介入し復職に関連するアウトカムを検討した研究は少なく、今後復職及び就労継続をアウトカムとした両立支援介入研究が活発に行われることが期待される。

【倫理的配慮】

ヘルシンキ宣言に基づき倫理的な配慮を行ったうえで研究を実施した。

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