日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: O - 95
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口述 22
群馬県片品村における「とうもろこし体操教室」の実践報告
~過疎地域における通所型介護予防の実際~
*七五三木 史拓
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抄録

【はじめに、目的】

超高齢社会の中で健康寿命の延伸のためにフレイルの予防は重要視されている。当院が所在している地域においても介護予防事業が開催されている。令和5年度に片品村より短期集中の通所型介護予防事業の依頼があった。市町村の要望としては、フレイル疑いの地域住民のフレイル予防および改善と、本事業の卒業生が、社会参加および運動継続のために別で実施している通年型の介護予防事業に参加するきっかけを作るということであった。要望に応えるために、運動指導はもちろんだが、運動継続や社会参加の重要性を地域住民に伝えていくために、個別面談の時間を設けた。本事業の実践報告と今後の課題を報告する。

【方法】

教室は週1回を3か月間、合計12回を1クールとし、年間2クー ル開催された。1クールの定員は5名で、令和5年度は10名の地域住民が参加した。参加者は男性3名女性7名、平均年齢は 77.1歳であった。参加者の募集は地区の広報や回覧板等でチラシを配布し応募のあった地域住民とした。1回の教室は90分で、 30分間セラピストが講話および集団体操を実施し、その後 DVDで体操を実施しながら、順番に参加者と個人面談を行った。個人面談では身体状況の確認と自主的な運動の定着を目的して、個別の自主トレメニューの作成と実施状況の確認を行った。身体機能評価は、5m歩行テスト (最大および快適)、TUG、5回立 ち上がりテスト、開眼片脚立位、握力、下腿周囲長 (最大)とした。評価は教室開始時と終了時に測定した。また、教室終了時にアンケート調査を実施した。

【結果】

身体機能評価では、いずれの項目も開始時と終了時で有意な改善は認めなかった。自主運動メニューに関しては、半数以上が週3~4回実施できていた。終了時でのアンケートでは、8名が通年型の介護予防事業への参加に興味を示していた。

【考察】

今回参加した10名は、健康意識が高く、会場まで徒歩または自動車運転で通うことができた。元々運動している参加者も多かったため、身体機能評価では有意な改善は認めなかったと思われる。対象としたかったフレイルまたはフレイル予備軍の地域住民が、教室に参加できるよう、対象者の抽出方法は検討の余地があると思われる。しかし、そういった対象者は教室に通う手段が無い方が多いと想定され、通所手段についても検討が必要と考えられる。

【倫理的配慮】

ヘルシンキ宣言に基づき、すべての対象者に個人情報保護対策、研究への同意と撤回について説明し、書面にて同意を得た。

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