日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: O - 38
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口述 7
地域在住高齢者に対する運動とタンパク質摂取による身体的プレフレイル改善効果の検証:ランダム化比較試験
*今岡 真和肥田 光正中村 美砂堺 景子安在 絵美市瀬 嵩志橘 伸彦程 彦長谷川 芳則
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抄録

【目的】

本研究は地域在住高齢者を対象に、対面による週1回の運動プログラムのみ参加群と、運動プログラムに加えてソイプロテインを毎日摂取する群におけるランダム化比較試験を行い、身体的プレフレイル有症の改善および運動機能の改善効果に違いがあるか検証することとした。

【方法】

対象は60歳以上の参加同意した87名 (女性68名)、平均年齢 75.5±6.3歳とした。運動実施期間は3ヵ月とし、週1回1時間の運動教室を全10回実施した。また、ランダムに2群割り付けを行い運動教室参加のみの教室群43名 (以下:教室群)、教室参加に加えソイプロテイン (20g/日)を90日間摂取する摂取群44名 (以下:摂取群)とした。

測定項目は、歩行速度、四肢骨格筋量指数、体幹筋量、握力、体重減少、易疲労感、運動習慣、全般的認知機能 (Japanese version of the Montreal Cognitive Assessment: MoCA-J)とした。また、身体的フレイル該当数についても調査した。基本属性は介入前に調査・測定を行なった。統計学的検討は、2群の比較 に二元配置分散分析を行い、交互作用および主効果の検定を実施した。なお、ベースライン時点で2群間に測定項目の有意差がないことを確認した。有意水準は5%未満とした。

【結果】

87名のうち4名を除く合計83名 (教室群43名、摂取群40名)について分析を行った。事前事後比較では歩行速度が教室群で事前1.27±0.23 m/s、事後1.28±0.22 m/s、摂取群で事前1.20±0.19 m/s、事後1.28±0.19 m/sと交互作用を認めた。その 他の測定項目は2群ともに四肢骨格筋量、体幹筋量、握力、身体的フレイル該当数、MoCA-Jに主効果を認めた。なお、身体的プレフレイルから健常に移行した率はそれぞれ教室群16.2%、摂取群22.5%であった。

【結論】

地域在住者を対象に運動とソイプロテインを組み合わせた介入を実施すると、摂取群は歩行速度が運動群に比べて有意に改善する可能性が示唆された。2群ともに身体的フレイル該当数、身体的プレフレイル有症率は有意に減少した。また、摂取群は教室群と比較して四肢骨格筋量指数、体幹筋量、握力の事前事後変化率が大きい傾向が確認された。

【倫理的配慮】

本研究は大阪河﨑リハビリテーション大学研究倫理委員会の承認 (OKRU‐RA0057)を得て実施し、参加者には書面と口頭にて説明を十分に行い、同意を得て実施した。

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