日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: O - 40
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口述 7
地域在住高齢者におけるフレイルの認知度とフレイルの関連性
*北森 太樹徳永 瑞樹松沢 良太畑山 浩志永井 宏達
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抄録

【はじめに、目的】

近年フレイルの予防や対策の重要性が認知され、各自治体でフレイルに対する様々な取り組みが広まっている。フレイルの認知度は地域や自治体によって異なり、フレイル予防に関する取り組みを積極的に行っている地域では認知度が高い傾向がある。地域在住高齢者のフレイルに関する認知を高めることは、フレイルの予防に寄与する可能性がある。しかし、フレイルの認知度と実際のフレイル該当の関連は明らかでない。本研究の目的は、地域在住高齢者におけるフレイルの認知度とフレイルの関係を明らかにすることである。

【方法】

本研究は、洲本市の5つの圏域のうち2圏域に住む高齢者を対象とした悉皆調査 (6128名)に基づく横断研究である。フレイルの認知度は「フレイルという言葉と意味を知っていますか」という質問を用い、①言葉も意味も知っていた、②言葉は知っていたが意味は知らなかった、③言葉も意味も知らなかった、の 3択にて評価し、①を認知度Ⅰ群、②を認知度Ⅱ群、③を認知度Ⅲ群とした。またフレイルは後期高齢者質問票、オーラルフレイルはOral frail index-8を用いて評価した。 統計解析は、各変数の記述統計を行った後に、フレイルの認知度と実際のフレイル、オーラルフレイルの有無の関連を明らかにするために、従属変数をフレイルおよびオーラルフレイル、独立変数をフ レイルの認知度としたロジスティック回帰分析を行った。共変量として年齢、性別、BMI、独居、併存疾患、経済状況を投入した。

【結果】

返答のあった2406名 (回収率39.3%)からデータ欠損、要介護認定されているものを除外し、解析対象者は1758名となった。フレイルの該当率は32.6%、オーラルフレイルの該当率は55.5%であった。 フレイルの認知度は、認知度Ⅰ群が675名 (38.4%)、認知度Ⅱ群が321名 (18.3%)、認知度Ⅲ群が762名 (43.3%)であった。認知度Ⅰ群を基準とした認知度Ⅱ群のフレイルのオッズ比は1.57 (95%CI 1.16‒2.13)、認知度Ⅲ群のオッズ比は2.06 (95%CI 1.60‒2.64)だった。また、認知度Ⅰ群を基準とした認知度Ⅱ群のオーラルフレイルのオッズ比は1.58 (95%CI 1.20‒2.08)、認知度Ⅲ群のオッズ比は1.91(95%CI 1.53 ‒2.40)だった。

【考察】

フレイルの認知度が低いほどフレイルやオーラルフレイルの該当率は増加していた。 今後は、フレイルの認知度向上の取り組みが、フレイルのリスクの低下に寄与するかを明らかにする必要がある。

【倫理的配慮】

研究の趣旨を書面にて説明し、調査票の返送をもって同意を得たものとした。本研究は兵庫医科大学倫理審査委員会 (承認番号 第4103号 202303-189)の承認を受けて実施した。

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