主催: (一社)日本予防理学療法学会、(一社)日本理学療法学会連合, 第59回 日本理学療法学術大会
会議名: 第11回 日本予防理学療法学会学術大会
回次: 1
開催地: 仙台大学(宮城県柴田郡柴田町)
開催日: 2024/11/09 - 2024/11/10
【はじめに、目的】
近年、スポーツ分野においてコンプレッションウェアが注目されている。コンプレッションウェアにはスポーツ時における怪我予防、パフォーマンスの向上に効果があると言われている。しかしスポーツ場面以外におけるコンプレッションウェアの効果に関する研究は少ない。そこで本研究はコンプレッションウェアの着用により、リハビリテーション業務中の疲労感を軽減させる効果を検証した。
【方法】
対象は当院に勤務する理学療法士22名。対象療法士の経験年数は平均4.0±2.4年で、性別は男性14人、女性8人であった。対象者に10項目の業務内容における疲労度の程度をNumerical Rating Scale(以下:NRS)を用いて事前アンケートを行なった。回答後、コンプレッションウェアのトップス (CW-X 機能性トップスHIGHPERFORMANCE JYURYU TOP:株式会社ワコール社製)とショーツ (CW-X 股関節サポート CORE MODEL ボディバランスアップスパッツ:株式会社ワコール社製)を業務時間中常に着用し、通常の臨床を7日間行い事前アンケートと同様の内容を事後アンケートとして行なった。データの解析に Wilcoxonの符号付順位検定を用いBonferroni補正を行なった。統計学的処理にはSPSS(IBM社製)を用い、有意水準は5%未満 とした。
【結果】
コンプレッションウェア着用前後でアンケート10項目中、「移乗介助」、「中腰やしゃがみ姿勢での作業」、「起居介助」、「歩行介助」、「起立練習」、「トイレ介助」、「段差昇降介助」の7項目で有意な疲労感の軽減を認めた。また、「プラットホームでのROMex・運動療法」、「パソコン作業」、「車椅子駆動」の3項目は有意差を認めなかった。
【考察】
有意差を認めた7項目の業務は残りの3項目と比較し療法士にかかる負担度が高いことが考えられ、コンプレッションウェアを着用することで、疲労軽減することが示唆された。一方、有意差を認めない3項目の業務では、負担度合いが低いことや事前アンケートのNRSが元々低いため床効果により変化が得られにくかったと考えた。
したがって、コンプレッションウェア着用により負担度の高いリハビリテーション業務における疲労感の軽減に効果があると考えられた。
【倫理的配慮】
本研究は所属施設の倫理委員会の承認をもと実施された。対象者に対しては調査の趣旨を説明し同意書にて同意を得た。