日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: P - 19
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ポスター 15
地域住民と人間ドック健診利用者における国際標準化身体活動質問票を用いた活動量と握力の関係
*山本 諒浜野 泰三郎浦谷 明宏山本 遼白石 明継乾 香織
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抄録

【はじめに、目的】

ヘルスリテラシーが高い事は自己管理能力が高く,健康状態を高く保つことが可能であると知られている.当院付属の人間ドックでは,5年前より運動器健診を理学療法士が開始し,オプションとして様々なコースを設け,運動に対して関心がある人間ドック受診者に運動指導を行ってきた.運動器健診を利用した者は運動や自らの身体機能により興味を持っていると考えられ,ヘルスリテラシーが高い可能性が考えられる.そこで,運動器健診への受診行動が身体活動や筋力へ与える影響を調査する事を目的に,地域住民と運動器健診受診者の関係を評価した.

【方法】

地域住民の身体活動量に関しては,当院で行われた地域イベントにおいて,我々の運動器健診の業務改善目的に行ったアンケート調査から評価した.その際に握力と国際標準化身体活動質問紙票 (以下,IPAQ)評価を行った.運動器健診受診者(2024年1月~4月受診者)に関しては,日常評価で行っているIPAQ評価と握力評価のデータを収集した.それぞれの群において,背景因子として性別,年齢,身長,体重を評価した.身体活動に関しては,IPAQにて評価を実施.身体機能は最大握力を評価した.

統計学的解析は,SPSS20 を用いて,有意確率5%未満とした.身体活動と身体機能に影響を与える因子を交絡因子とし,傾向スコアを算出した.更に逆数重み付け法を用いて調整を行い,線形回帰モデルを用いて,健診受診行動と身体活動または,身体機能との関連について解析した.

【結果】

高強度の運動を行った時間(p<0.05,β=13.88)と1日に座っていた時間(p<0.01,β=142.826)のみ有意差を認めた.最大握力(p>0.5,β=1.4)は有意差を認めなかった.

【考察】

地域住民と運動器健診受診者を比較した結果,運動器健診群では高強度の運動を行う時間が多い一方で,1日の内に座っている時間が長いという結果が示された.これは,そもそも人間ドック受診者は就業者が多く,その中でも運動器健診受診者はデスクワーカーが多い可能性が示唆される.また運動に関しても仕事との関係上多くの日数は費やすことはできないが,可能な日には高強度トレーニングをより長く行っている可能性が示された.身体機能には差がない事も示された.

【結論】

運動器健診受診者は,高強度の運動をより長く行う一方座位時間が長く,身体機能は地域住民と差が無いことが示された.

【倫理的配慮】

本研究はヘルシンキ宣言に基づき「人を対象とする医学研究に関する倫理指針」を遵守している。得られたデータは本研究の目的以外には使用せず、研究の結果を公表する際も被験者を特定できる情報は使用しない。また、本研究は当院臨床研究審査委員会における【承認番号4388号】を取得している。自施設既存情報を用いる研究であるため、倫理指針に従って当院ホームページにて情報公開し、拒否機会を付与している。

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