主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第45回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: さいたま市
開催日: 2024/12/13 - 2024/12/14
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うつ病は多様な疾患である。その多様性は、ゲノムや環境因に基づく、症状や経過の多様性、治療反応の多様性、さらには病期やライフステージの多様性を意味し、これらを適切に認識した診療が望まれている。現在、本邦では9種類の新規抗うつ薬が上市されており、それらの薬理作用も多様である。つまり、多様な症状と各治療期におけるゴールに対して、多様な抗うつ薬の中から最適解を探す作業が必要となってくる。 その多様性x多様性の難問に対する最適解への第一歩は症状の定量化による適切な縦断評価、つまりMeasurement Based Care(MBC)、そして、治療期を各フェーズに分け、それぞれのゴールを経て長期的ゴールに到達することである。MBCに用いられる評価尺度は、急性期ではQIDSやPHQ-9、副作用評価、復職準備から復職期、維持期ではWPAIやTHINK IT、パーソナルリカバリーではGAS-Dなどが臨床的に有用であろう。MBCを活用したPGx研究を中心としたプレシジョンメディスンの実現が待たれるが、うつ病においては臨床的に活用できるバイオマーカーはまだない。 一方、現在、日本うつ病学会ではうつ病ガイドラインが大改訂されており、2024年の総会で、そのドラフト版の一部が公開された。この改訂版ガイドラインは“医療利用者と提供者の意思決定を支援するために、システマティックレビューによりエビデンス総体を評価し、益と害のバランスを勘案して、最適と考えられる推奨を提示する文書”というmindsのルールに基づいた、本邦初のうつ病ガイドラインとなる。 本講演では、うつ病の多様性を、MBC活用し治療フェーズとゴールという観点に着目し、どのように抗うつ薬の有用性を評価し、有効な薬剤を選択したらよいかを、大改訂版ガイドラインやゲノム研究の現状を紐解きながらそのヒントを探ってみたい。
教育講演 16