主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第45回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: さいたま市
開催日: 2024/12/13 - 2024/12/14
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【目的】バルガンシクロビル (VGCV) は肺移植後のサイトメガロウィルス (CMV) 感染症に対して優れた予防効果を発揮するが、VGCVの骨髄抑制に伴う早期投与中断によるCMV感染・再活性化が懸念される。近年、VGCVの活性本体であるガンシクロビル (GCV) 三リン酸の脱リン酸化にNudix hydrolase 15 (NUDT15) が関与することが報告された。NUDT15活性低下型変異を有する患者では、GCV三リン酸の代謝遅延によって有害事象の発症リスクが高い可能性がある。そこで、肺移植患者におけるVGCV投与後の骨髄抑制に及ぼすNUDT15遺伝子多型の影響を評価した。 【方法】2021年7月から2023年10月までに京大病院呼吸器外科において、肺移植後にVGCVが予防投与された患者28例を投与後180日間追跡調査した。NUDT15遺伝子多型をダイレクトシークエンス法により同定し、野生型群および活性低下型群の2群に分けて解析した。投与後35日間における好中球数最低値時点のGCVトラフ血中濃度 (C Nadir) は、以前我々が報告した薬物動態モデルに従い1)、非線形混合効果モデルプログラムNONMEMによりベイズ推定した。 【結果・考察】患者28名中9名 (32.1%) に、NUDT15活性低下型多型であるArg139Cysヘテロ接合体 (6名)、Arg139Cysホモ接合体 (1名)、Val18Ileヘテロ接合体 (1名)、Arg139Cys/Val18Ile 複合ヘテロ接合体 (1名) が同定された。好中球減少症 (1,500/μL>) 発症期間中央値は活性低下型群で32日と野生型群の77日より早い傾向にあった (p = 0.083)。観察期間35日間における好中球数およびC Nadirを比較したところ、好中球数最低値中央値はそれぞれ活性低下型群で2,200/μLと野生型群の4,010/μLより低値を示したが (p < 0.05)、 C Nadirは2群間で有意な差を認めなかった (中央値 [四分位範囲], 野生型 177 [125-275] ng/mL; 活性低下型 314 [105-461] ng/mL, p = 0.325)。GCVの骨髄抑制は濃度依存的であるとされるが、活性低下型群における好中球減少は全身循環血中GCV濃度のみでは十分に説明することはできなかった。 【結論】NUDT15遺伝子多型はGCVの血中濃度には影響を与えずに、肺移植後のVGCVによる骨髄抑制のリスクを上昇させる可能性が示唆された。 1) Katada Y et al. Transpl Infect Dis. 25:e14141, 2023.
優秀発表賞審査セッション 1