主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第45回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: さいたま市
開催日: 2024/12/13 - 2024/12/14
p. 31-
【目的】早期臨床開発段階で実施される用量漸増試験等の非用量群間ランダム化・複数用量検討試験では,用量群間でベースライン反応値に不均衡が生じ,それにより用量又は曝露量-反応関係の検討が困難になる可能性がある。非線形混合効果モデリングは理論上,個体間変動を適切に考慮することにより,そのような限界を克服可能な解析手法であると考えられるものの,それを実証した報告は存在しない。そこで本研究では,非線形混合効果モデリングを用いた曝露量-反応解析におけるベースライン反応値の用量群間不均衡の影響について検討を行った。 【方法】最大効果モデルを用いたシミュレーションにより,被験者の割付方法を変えた複数のシナリオで4つの用量群(プラセボを含む)の曝露量-反応データを発生させ,そのデータからシミュレーションに用いたモデルのパラメータを様々な条件下で推定し返した。ベースライン反応値パラメータには,個体間変動を考慮した。用量群割付のシナリオは,ベースライン反応値に依らず被験者をランダムに割り付ける場合と,ベースライン反応値が高い被験者の順に高い又は低い用量を割り付ける場合(正又は負の相関を伴うベースライン反応値の用量群間不均衡)の3通りとした。 【結果・考察】シミュレーションに用いたモデルでパラメータを推定し返した結果,各パラメータの真度及び精度は3通りの用量群割付シナリオ間で同程度であった。ベースライン反応値に用量群間不均衡があるシナリオでは,ベースライン反応値の個体間変動を削除したモデルでパラメータ推定を行うと,一部のパラメータで推定真度が悪化し,それはモデルの適合度を示す目的関数値の悪化と連動していた。同じく不均衡があるシナリオにおいて,推定真度の悪化はベースライン反応値の個体間変動の上位に用量群間変動を付加した場合でも認められたが,その際の目的関数値はむしろ改善していた。 【結論】非線形混合効果モデリングでは,ベースライン反応値に用量群間不均衡がある場合でも,安定した真度及び精度で最大効果モデルのパラメータ推定が可能であることが示唆された。ベースライン反応値に用量群間不均衡がある場合,ベースライン反応値の個体間変動の取扱いには,目的関数値の比較のみに依らず,慎重な判断が求められる。本研究で得られた知見の一般化可能性を評価するためには,より複雑な状況下での検討が必要である。
一般演題(口演) 4