主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第45回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: さいたま市
開催日: 2024/12/13 - 2024/12/14
p. 34-
【目的】Angiotensin-converting enzyme(ACE)はCおよびNドメインの2種の触媒活性部位が存在する。Angiotensin(Ang)1をAng2に変換し、昇圧作用に関与するのはCドメインである。また、ACEには可溶型と膜結合型が存在し、ACE阻害薬であるlisinopril(LIS)はこれらのCドメインを選択的に阻害することにより降圧作用を示し、静脈内投与時の血清中濃度推移において用量非線形性が示されている1)。本研究ではLISの可溶型および膜結合型ACEのCおよびNドメインとの動的な結合性、および可溶型ACEの体内動態を考慮した生理学的薬物速度論(PBPK)モデルを血清中濃度、尿中回収率およびACE阻害率を用いて構築すること。さらにACE阻害率データを用いずに薬効の指標となるACE阻害率を予測することを目的とした。 【方法】LISの経口および静脈内投与後のLISの血清中濃度、LISの尿中回収率および各採取時点におけるACE阻害率を用い、クラスターガウスニュートン法2)により、LISのACEのCおよびNドメインとの動的結合および可溶型ACEの体内動態を考慮したPBPKモデルを構築し薬効を予測した。 【結果・考察】構築したPBPKモデルによって得られたシミュレーション値は、LISの経口および静脈内投与時のLISの血清中濃度およびLISの経口投与時の尿中回収率の実測値とよく一致した。また、ACE阻害率は一部低投与量で過大評価される傾向は見られたものの、他の投与量では概ね一致した。ACE阻害率を用いずに構築したPBPKモデルから得られたACE阻害率シミュレーション値は実測値と一致しなかったが、これは、活性測定に用いた基質のCおよびNドメインの寄与率が求まらなかったためであると考えられ、各ドメインの寄与率を固定したところ、ACE阻害率を予測することが可能となった。このように、薬物と標的蛋白の結合による非線形性をPBPKモデルにより記述し薬効を予測することで、医薬品臨床開発における第1相試験の薬物動態データから第2相以降の用量設定に活用できるものと期待される。 【結論】本研究にて構築した、LISのACEのCおよびNドメインへの動的結合および可溶型ACEの体内動態を考慮したPBPKモデルにより、薬物動態データから薬効が反映するACE阻害率の予測が可能となった。 【参考文献】1) Beermann B et al,. Biopharm Drug Dispos., 10(4):397-409(1989); 2) Aoki Y et al,. Optim Eng., 23:169 (2022)
一般演題(口演) 4