主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第45回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: さいたま市
開催日: 2024/12/13 - 2024/12/14
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マクロファージは炎症・免疫応答を方向付ける主要な免疫細胞として、がんや炎症性疾患の病態悪化に関与している。しかしながらマクロファージは病態によって異なる性質に分極化し、生体の防御にも重要であるため、マクロファージを標的とした新薬開発は難航している。 我々は、単球/マクロファージの動態を制御するケモカイン受容体シグナルの促進分子であるFROUNT(フロント)タンパクを発見し、これを標的とすることで、マクロファージの過剰な働きを調節する疾患治療薬の開発を目指している。FROUNTは、ケモカイン受容体CCR2およびCCR5の細胞内に結合して、病態悪化に関わるPI3Kなどの細胞内シグナルを促進することで単球/マクロファージの遊走・組織浸潤を亢進して炎症反応を悪化させる(Terashima Y, et al. Nature Immunology. 2005:827)。がんではFROUNTはマクロファージの活性化/分極化を亢進してがんを増悪化すること、術後の予後不良因子であることを見いだした。このFROUNTタンパクに直接結合して機能を阻害する化合物を探索してFROUNT阻害剤として同定した既存嫌酒薬ジスルフィラムは、マクロファージによるがん促進機構を阻害することで、がん増生を抑制することを報告してきた(Terashima Y, et al. Nature Communications. 2020:609)。 最近、多くの臨床の先生方との共同研究を通して、FROUNT阻害薬ジスルフィラムは腎疾患(Toda E, et al. Kidney International. 2022:1276)、不安症(Saitoh et al. Frontiers in Pharmacology. 2022:826783)、角膜外傷(Ikebukuro et al. Int.J. Mol. Sci. 2023:753)、くも膜下出血(Itani et al. Neuroscience.2024:51)、心/肺移植拒絶(Chen et al Commun Biol. 2024:488、Yoshiyasu et al. Transpl Int. 2024:12556)、肺線維症(Scientific Reports. In press)などに有効である可能性を見いだしてきた。 本演題では、新規FROUNT阻害薬の臨床応用を目指し進めている開発研究について紹介して議論をさせていただくことで、様々な疾患において病因となるマクロファージを制御する新薬の実用化研究のさらなる推進を目指したい。