日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第45回日本臨床薬理学会学術総会
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シンポジウム
胎児の腎臓病に対するブタ胎仔腎臓移植治療開発
横尾 隆
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p. 46_-

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Abstract

慢性腎不全による透析医療は成人のみでなく小児領域でも大きな問題となっている。小児の場合ドナーが見つかる場合が成人よりは多く、移植により透析離脱が可能となる。腎移植は透析と比較して患者QOLや生命予後の観点から大変有効な治療法であることは疑いの余地がない。しかし世界的に十分なドナー臓器が供給されるわけでなく、すべての腎不全患者がその恩恵を受けられない。とくに日本では、その国民性のためか慢性的な献腎不足がありなかなか腎移植が進んでいないのが現状である。これまで成人でのドナー不足に対し、ブタ腎臓で代用する異種移植が世界的に検討されてきた。2014年のCRISPR-Cas9の登場により複数の遺伝子の編集が可能になったことで、遺伝子改変ブタの臓器使用で異種移植の生着率が飛躍的に向上している。米国では腎移植の臨床治験がFDAに申請され2例の異種移植が行われた。しかし一時的に透析は離脱できたものの、2ヶ月前後で患者が死亡している。また拒絶管理が複雑で、かつブタを衛生的に育てる広大な施設は数100億円以上の先行投資が必要となるため、日本で行うにはかなりのハードルがある。 我々はこれまでの研究で、胎仔腎臓移植は成熟腎臓移植に比較し、大幅に免疫原性が低く、また移植後生体内で成熟する際にホストの血管が迷入するためホストの尿が生成されることを霊長類にて確認している。その他にも成熟腎臓移植に対して胎仔腎臓移植は多くの優位性を持つ。そこでこの技術をPotter症候群のような胎生期に腎不全を発症する患児に対応できないか検討を重ねてきた。我々の行なってきた異種胎仔臓器移植の欠点は移植後成熟させるため、尿が得られるまで4週間必要となることである。つまりPotter症候群の新生児に適応させるためには、出生4週間前の胎児に子宮内手術により移植する必要がある。したがってドナーはブタ胎仔腎臓でレシピエントはヒト胎児ということになる。我々はすでにブタ子宮内胎仔への移植技術を開発し出生時に尿の流出を得ることに成功し、また子宮内胎仔から胎仔臓器を無菌的に採取するクリーンユニットの樹立も完成した。そしていよいよ臨床応用に向けて各方面と調整を開始している。

シンポジウム 13

 
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