主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第45回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: さいたま市
開催日: 2024/12/13 - 2024/12/14
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パーキンソン病は、中脳黒質‐線条体系のドパミン神経が進行性に脱落することでさまざまな運動症状を引き起こす神経変性疾患であり、その治療は未だ対症療法が中心である。1980~90年代には、脱落したドパミン神経を補充する目的で胎児中脳組織を用いた細胞移植治療が欧米で試みられ、一部では有効な症例も報告された。しかし、胎児細胞の供給不足や、移植片由来の不随意運動といった副作用が問題となり、一般的な治療法としては定着していない。 近年、幹細胞技術の進展により、多能性幹細胞が細胞移植治療の有望な候補として注目されている。我々は、ヒト多能性幹細胞からドパミン神経前駆細胞を製造する方法を確立し、それをカニクイザルパーキンソン病モデルに移植して、症状の改善を確認した。この動物実験の成果を基に、2018年より「iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験」が開始され、2023年には予定されていた2年間の経過観察が終了した。 この治験では、7名の患者に対し、両側被殻に約500~1000万個のiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を定位脳手術で移植した。移植に使用された細胞は、京都大学iPS細胞研究財団が樹立した最頻度HLAホモドナー由来のiPS細胞ストックから製造された。他家移植であるため、免疫抑制剤を使用した。MRIやPETによる画像解析、および神経症状の経時的観察を行い、現在、最終結果の報告準備中である。 本講演では、パーキンソン病に対するiPS細胞由来細胞治療の開発プロセス、細胞移植治療の現状、そして今後の展望について紹介する。
シンポジウム 13