主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第45回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: さいたま市
開催日: 2024/12/13 - 2024/12/14
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小児がんの患者数は少なく、種類は多い。特に小児特有のがんでは、その希少性ゆえに医薬品の企業開発が困難であり、ドラッグラグ、ドラッグロスの解消が課題となってきた。この対策の一つとして、欧米では成人の医薬品開発時に小児用医薬品の開発計画策定を義務付ける法整備などが行われている。我が国においても、特定用途医薬品指定制度の創設、再審査期間の延長等の対応により、小児用医薬品の開発環境の整備がなされてきたが、小児特有のがんに対する開発の活性化にはつながってこなかった。海外承認薬、また、海外でも承認されていないが標準治療薬となっている医薬品を、薬事承認し、保険適用下で使用、あるいはその前段階で治験等の臨床試験参加で使用、さらには一定のエビデンスのある医薬品を個々の患者の要望に基づき迅速な審査の下で使用可能とすることなどが患者・家族から要望されてきた。 この要望を受け、アカデミアでは当面の薬剤アクセスの一助とすべく、複数の医薬品をあらかじめ準備して行う患者申出療養の臨床試験(NCCH2220:PARTNER試験)を開始した。製薬企業の協力の下、がんゲノム情報管理センター(C-CAT)データベース内に登録されたがん遺伝子パネル検査結果で小児がんに推奨された回数の多い医薬品を中心に準備を行い、2024年9月時点で8剤が臨床試験下で使用されている。行政ではこれまでの取り組みに加え、「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」における検討が行われた。検討結果を踏まえ、成人用の医薬品の開発時に小児用の開発計画を策定することが努力義務とされ、その際にはPMDAに新たに設置された「小児・希少疾病用医薬品等薬事相談センター」にて開発計画の確認を受けられる仕組み、および相談手数料の補助も導入された。PMDAの確認を受けた開発計画に基づき開発を進めた結果、小児の適応が承認された場合には、薬価収載時、薬価改定時及び市場拡大再算定適応時における小児加算率をより高く評価するなどの整備もなされた。また、「小児がんおよび小児希少難治性疾患の医薬品の早期実用化を目指した新たな審査基準提言のための研究」班の設置や「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での国主導の開発要請スキームの新設など、開発促進への新しい動きも始まっている。 多くの新しい施策により小児がん領域での医薬品開発は加速しつつある。
シンポジウム 22