日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第45回日本臨床薬理学会学術総会
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シンポジウム
「研究対象者保護」領域について
前田 実花
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p. 92_-

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Abstract

 臨床研究の現場で、研究対象者の権利と福祉を守ることは、研究者の第一の責務である。医療技術の急速な進歩は、大きな希望をもたらす一方で、臨床研究の在り方を複雑化し、従来の倫理的枠組みでは対応が難しい課題も生まれている。臨床研究にかかる規制も複雑化する中、研究対象者の権利と福祉を守りつつ、質の高い臨床研究の実施を支える研究者等のパートナー、相談者の存在は不可欠となっている。  このような臨床研究の複雑な状況に対応し、研究対象者保護の観点から適切な提案・助言を行い、研究者等の助けとなる人材を「日本臨床薬理学会認定臨床研究専門職制度」の「研究対象者保護」領域の認定者として認定する。認定要件には、研究対象者保護の観点からの提案・指導に必要となる基本的能力を備えることが含まれる。具体的には、臨床研究における「診療」と「研究」の混同に関する課題の指摘、研究対象者保護の観点から必要となる適切な対応策に関する提案・助言、基本的倫理原則(人格の尊重、善行、正義)の理解に基づいた研究対象者保護に必要となる提案・助言などである。加えて、実際に研究対象者保護に関連する研究倫理コンサルテーション、倫理審査委員会活動、教育活動などの実績を5年以上有することが要件として定められている。臨床研究における倫理的課題への実際的な対応能力は、知識だけで習得できるものではなく、実際の事例に触れ、多様な立場の人々と対話を重ね、時に難しい判断を下す経験を通じて培われるものであるからである。  こうした専門的能力をもつ人材の育成は容易ではない。しかし、既に質の高い臨床研究の推進に貢献した経験を有する良いベースを持つ人材がいるのであれば、その人材のレベルを引き上げ、臨床研究を支える臨床研究専門職として育成することは効果的な方策の一つとなる。日本臨床薬理学会 認定制度のもと認定を受けた認定CRC等は、高いポテンシャルをもつ候補人材となる。  研究者に寄り添う「研究対象者保護」領域の臨床研究専門職は、研究者と研究対象者等を結ぶ架け橋となり、研究対象者の権利と福祉の保護のもと質の高い臨床研究を推進する重要な役割を果たすことが期待される。

シンポジウム(学術委員会企画) 28

 
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