主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第45回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: さいたま市
開催日: 2024/12/13 - 2024/12/14
p. 93-
【目的】直接閲覧(SDV)は治験データの信頼性確保及び被験者保護を確認する重要な活動である。実施医療機関で行うオンサイトSDVに対し、遠隔地から行われるリモートSDVがCOVID-19感染拡大防止による訪問制限対応として注目され、山口大学医学部附属病院(以下、当院)においても体制を構築し、2023年度より閲覧用PC貸与及び電子カルテベンダーによるリモートSDVシステムの2種類の運用を開始した。地方にある当院にとっては訪問制限の有無にかかわらず、地理的要因の軽減、限られたSDVスペースの有効活用など、選択肢の一つと考えるがその利用は進んでいない。そこでリモートSDV利用促進のための改善策検討のため、当院におけるオンサイトSDVの現状を分析した。 【方法】2024年4月1日から6月7日にオンサイトSDVで当院に来訪した臨床開発モニター(CRA)を対象に、当院整理番号、来訪人数、当該SDVのモニタリング計画書によるオンサイト指定の有無、治験プロセスの確認作業を含む項目別所用時間、主担当者の移動時間・宿泊状況等からなる調査票の記入を依頼した。 【結果・考察】対象期間中38件のオンサイトSDVの実施があり、36件の回答を得た(回答率94.7%)。平均来訪人数1.19人、オンサイト指定80.6%、移動時間を除くSDV合計時間は234.5時間であった。所用時間比率の上位は治験ワークシート(WS)確認29.2%、電子カルテ記録確認27.1%、責任医師必須文書確認10.2%、IRB必須文書確認8.4%であった。WS確認は実施率も最も高く、電子カルテでの閲覧に非対応であった。オンサイト実施の要因の一つと考えていた責任医師等との面談は時間比率0.6%、実施率11.1%であった。移動合計時間はSDV合計時間と同等で、75%が宿泊を要していた。 治験依頼者側においてもRisk-based Monitoringの普及によりSDVの機会が整理され、更に高いオンサイト指定率の状況下で治験依頼者をリモートSDVに誘導するには、閲覧時間比率を大幅に高める必要がある。本調査により閲覧時間及び頻度が電子カルテを上回るWSの運用方法の見直しが最優先課題であることが明確になった。 【結論】当院においてリモートSDVの利用促進は、オンサイトSDVの全工程時間を半減できる可能性を秘め、実施されればCRAの負担を大いに軽減するメリットが提供できる可能性がある。そのためにはリモートSDVでの閲覧対応資料を拡充すべくWSの運用対策を講じる必要がある。
一般演題(ポスター) 4