主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第45回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: さいたま市
開催日: 2024/12/13 - 2024/12/14
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CYP2C19は抗真菌薬のボリコナゾール(VRCZ)、抗血小板薬のクロピドグレル、抗うつ薬のエスシタロプラム、プロトンポンプ阻害薬のランソプラゾール(LPZ)など、臨床で用いられている薬物の約10%程度の代謝を担う。CYP2C19は代謝活性に影響を及ぼす遺伝子多型が存在し、遺伝子多型に基づき、活性が正常なhomozygous extensive metabolizer (hom-EM CYP2C19*1/*、日本人における頻度:約35%)、中間的な活性を示すheterozygous extensive metabolizer (het-EM:CYP2C19*1/*2及び*1/*3、約50%)、活性が著しく低いpoor metabolizer (PM:CYP2C19*2/*2、*2/*3及び*2/*3、約15%)に分類することができる。これらのCYP2C19遺伝子多型は上述した基質薬物の体内動態や臨床的アウトカムに影響を及ぼすことが報告されており、解析結果は診療報酬の算定対象ではないものの、臨床応用されている事例も散見される。しかし、実臨床においてはhom-EMまたはhet-EM患者であるにも関わらず、PM患者と同程度のCYP2C19活性を示す症例や、活性が個体内で大きく変動する症例も存在する。したがって、CYP2C19遺伝子多型情報のみによって代謝活性の個体内/個体間変動を予測することは困難である。我々は、CYP2C19活性変動に寄与する因子として、種々のCYP活性を低下させるInterleukin(IL)-6などの炎症性マーカーの血中濃度及びCYP2C19発現を制御する核内受容体であるpregnane X receptor (PXR/遺伝子コード:NR1I2)の遺伝子多型に着目し、VRCZ及びLPZの薬物動態学的研究を行ってきた。その結果、hom-EMまたはhet-EM患者においては、CYP2C19活性の指標となる代謝物(VRCZ N-oxideおよび5-ヒドロキシLPZ)と親化合物の血中濃度比(M/P比)とIL-6血中濃度は負の相関を示し、また、NR1I2遺伝子多型間でM/P比に差異が認められた。一方、PM患者においては、これらの要因とM/P比との関連は認められなかった。 本シンポジウムでは、これまでに報告されているPharmacokinetics-Pharmacodynamics-Pharmacogenomics研究及び当院での研究で得られた知見を紹介し、CYP2C19遺伝子多型に基づく個別化投与設計の今後の展開について議論したい。
シンポジウム 29