日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第46回日本臨床薬理学会学術総会
会議情報

会長講演
新たなフェーズへ 〜臨床薬理学が創る次の時代〜
蓮沼 智子
著者情報
会議録・要旨集 フリー HTML

p. 1-

詳細
Abstract

私が臨床薬理学の世界に足を踏み入れたのは、現在の所属である(旧)北里研究所・(旧)臨床薬理研究所に入職した時のことです。それまでリウマチ・免疫学の領域で臨床と基礎研究に携わっていた私にとって、臨床薬理はまさに未知の分野であり、その新鮮さと奥深さに、大きな刺激を受けたことを今でも鮮明に覚えています。 これまで数多くの早期臨床試験に責任医師・分担医師として関わり、現在日常診療で自ら処方している薬剤の中にも、当時治験を担当したものが少なくありません。処方するたびに、候補物質だった薬が市場に出るまでの道のりを思い出し、創薬に携わる者としての喜びと重みを実感します。成功確率が決して高くない新薬開発の世界で、関わった薬が市販に至る瞬間に立ち会えることこそ、早期臨床試験に携わる醍醐味だと感じています。 一方で、近年問題となっている日本のドラッグラグ/ドラッグロスの背景には、国内で早期臨床試験が十分に実施されていない現状があります。海外では受けられる医療が日本ではすぐに受けられない——この状況は、一刻も早く改善すべき深刻な課題です。そのためには、海外における日本の創薬・臨床薬理のプレゼンス向上が不可欠です。私たちは製薬企業やPMDAと連携し、本学術総会でのシンポジウム開催に加え、次回のアメリカ臨床薬理学会でもシンポジウム企画を進め、欧米への積極的な発信を行っていく予定です。 さらに、コロナ禍を経て世界は大きく変わり、人々の価値観にも“変化を受け入れる柔軟性”が生まれました。臨床薬理学も例外ではなく、新たな技術や概念の登場により、学問そのものが次のステージへ進もうとしています。本学術総会では、これまで築かれてきたレガシーを大切にしながら、この変化の時代における臨床薬理の未来を考えるヒントとなるテーマを特別講演・教育講演として企画しました。一部は後日配信も予定しておりますので、会場にお越しいただけない方にもご視聴いただければ幸いです。 医師になった当初、まさか自分がこのような立場で仕事をする日が来るとは想像もしていませんでした。深く考え込むより「なるようになる」と歩んできた私ですが、その節目節目で多くの先生方に支えていただき、ここまで続けることができました。これまで関わってくださったすべての皆様に、心より感謝申し上げます。

会長講演

 
© 日本臨床薬理学会
feedback
Top