主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第46回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: 東京都千代田区
開催日: 2025/12/05 - 2025/12/06
p. 12-
全身性硬化症(SSc)は、多臓器の萎縮と線維化、小~毛細血管レベルの血管リモデリング、自己抗体産生を特徴とする結合組織疾患である。病変の非可逆性と臨床経過の多様性により依然として生命予後不良の難治性疾患である。現時点で生命予後の改善が無作為比較試験で証明されているのは、急速に臓器障害が進行する早期びまん皮膚硬化型SSc(dcSSc)に対する自己末梢血造血幹細胞移植のみであるが、移植関連死亡のリスクや実施可能施設の制限が課題である。そのため、皮膚硬化の改善促進や間質性肺疾患による努力肺活量低下の抑制といった短期的有効性が示された免疫抑制薬(シクロホスファミド、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル)、分子標的薬(トシリズマブ、リツキシマブ)、抗線維化薬ニンテダニブが国内外の治療勧告で推奨されている。ただし、これら治療薬には長期予後改善のエビデンスはない。近年、SScの病態に関与するB細胞やⅠ型インターフェロンなどを標的とした分子標的薬の臨床試験が多く実施されている。残念ながら、これまで主要評価項目を達成できず中止となった試験が相次いでいる。一方で、新たな治療戦略として異なる作用機序を組み合わせた併用療法、CAR-T細胞療法、二重特異性T細胞エンゲージャーなどの先進的アプローチも試みられている。また、薬効評価に適した組み入れ基準や包括的アウトカム指標(修正CRISS、morbidity/mortalityイベント)も整備されつつある。さらに、縦断的に収集された皮膚や末梢血検体を用いたバイオマーカーを用いた解析により、個別化医療に資する知見が蓄積されている。本講演では、SSc治療の現状と今後の展望について概説する。
シンポジウム 2