日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第46回日本臨床薬理学会学術総会
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シンポジウム
特発性炎症性筋疾患の薬物治療最前線
梅澤 夏佳
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p. 13-

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Abstract

 特発性炎症性筋疾患(idiopathic inflammatory myopathy: IIM)は、筋、肺、皮膚を主な罹患臓器とする自己免疫疾患の一つである。病態形成には、T細胞、B細胞、単球、マクロファージなどの免疫細胞が多層的に関与する。本邦の患者数は約2万人であり、皮膚筋炎、多発性筋炎、免疫介在性壊死性筋症(IMNM)などの病型を包含する。近年、筋炎関連自己抗体が複数同定され、自己抗体と臨床的特徴や治療反応性との関連が明らかとなった。  治療は標的臓器や重症度により異なるが、グルココルチコイド(GC)と非特異的免疫抑制療法が主体である。筋病変に対しては、中等量以上のGCに加えアザチオプリンやメトトレキセートを併用しGCの減量・中止を目標とする。亜急性から慢性進行性の間質性肺炎に対しては、中等量以上GCにタクロリムスやシクロフォスファミド間欠静注療法(IVCY)を併用する。発症半年以内で致死的経過となりうる抗MDA5抗体陽性の急速進行性間質性肺炎では、治療導入時から高用量GC、タクロリムス、IVCYの3剤併用療法が行われ、経過により血漿交換療法を追加する。治療抵抗性の皮膚筋炎ではミコフェノール酸モフェチルの使用が検討され、IMNMを含む治療抵抗性で重篤な筋力低下を示す例では免疫グロブリン大量静注療法も選択肢となる。  いずれの標的臓器においても治療抵抗例やGC依存例が少なからず存在し、半数程度はGC減量中に再発を経験することから、病態に即した治療薬が望まれている。疾患活動性の評価方法が標準化されたことや、自己抗体等による患者層別化が浸透した背景もあり、IIMを対象とした臨床試験は積極的に展開されているが、主要評価項目を達成した試験は限定的である。現在は、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬、Ⅰ型インターフェロンなどのサイトカイン阻害薬、B細胞標的療法などを用いた第2相、第3相試験が行われている。特にB細胞標的療法の中では、CD19標的キメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞(CAR-T)療法の有用性が注目されている。また、特に難治であるIMNMは抗体依存性の病態であることが示されており、胎児性Fc受容体阻害薬の第3相試験も進行中である。  今後はこれらの試験によって分子標的療法の有効性と安全性が明らかとなり、GCに依存しない患者個別の病態に即した治療法の確立が期待される。

シンポジウム 2

 
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