主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第46回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: 東京都千代田区
開催日: 2025/12/05 - 2025/12/06
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気管支喘息(以下、喘息)は呼吸器領域およびアレルギー領域におけるcommon diseaseの一つであり、年間に千名余りが亡くなる要注意の疾患である。30年ほど前には年間6千名の喘息死が見られたが、吸入ステロイド薬や配合吸入薬の進化と普及、様々な抗体製剤の登場により順調に減少している。喘息の管理は随分行いやすくなったが、決して容易とまでは言えない。 重症喘息患者の多くが2型炎症を呈し、その成立に関わるIL-5, IL-4, IgE, TSLPといった標的分子に対する抗体製剤が成果を上げている。さらに抗TSLP抗体は2型炎症がみられないtype 2 low喘息でも効果を示す。抗体製剤が臨床で威力を発揮することにより、我々の診療研究にも様々な変革が生じている。まず挙げられるのは、研究の進展を通じて、標的分子の多面的な作用が明らかになったことであり、好酸球の細胞死(EETosis)や気管支内の粘液栓といった現象も治療薬との関わりで理解が深まる。次に、抗体製剤の著効を背景として重症喘息の将来予測、特に寛解が脚光を浴び、軽症患者から重症患者までを対象とする臨床的寛解(clinical remission)の達成要件と各薬剤の実力が話題となっている。さらに、喘息だけでなく併存疾患も考慮した治療戦略が重視され、担当医師において肺以外の臓器にも関心を向ける機会が増えている。そして長年の悲願であったアレルギー疾患の発症制御、特にアトピー性皮膚炎に対して抗体製剤を小児期から使用することによる喘息発病の変化にも注目が集まっている。昔の気管支拡張治療一辺倒の考え方から、現在は気道炎症を制御して喘息増悪を抑えQOLや呼吸機能改善を狙う考え方に置き換わっているが、今後はさらに個々の患者の特性を判定し個別治療に結びつけるtreatable traitも浸透していくことが期待される。2型炎症を呈する重症喘息患者における抗体製剤選択に迷うことが多いが、各製剤の作用と弱点、患者の特性を照合して製剤選択を行う指針作りが課題であり、将来新たな治療薬が登場する際に必要性がさらに高まると考えられる。
シンポジウム 2